未曽有の苦境を
迎えている韓国経済

 足元の韓国経済は、朝鮮戦争が休戦して以降、最も厳しい状況を迎えているといっても過言ではないだろう。特に、世界経済の低迷によって、韓国経済の成長を支えてきた輸出が減少基調を脱していない。

 外需依存度の高い韓国では、輸出の動向が経済全体の活動を大きく左右する。過去の景気循環を振り返ると、輸出が増加する場合、韓国国内ではサムスン電子などが設備投資を積み増した。それは、雇用の維持と創出を支えただけでなく、建設投資の増加にも重要な役割を果たした。韓国経済にとって輸出が減少基調にあることは、まさに死活問題だ。

 4~6月期の輸出減少に続き、7月に入ってからも韓国の輸出は減少している。7月1日から20日までの輸出を品目別にみると、これまで増勢を保ってきた半導体の輸出までもが減少し始めた。足元、米国の制裁強化に対応するため中国のファーウェイが、台湾のTSMCからの半導体在庫の確保を優先している影響は大きい。自動車、石油化学、鉄鋼など、韓国経済を支えてきた多くの産業が需要低迷に直面している。カタールからの発注に支えられて造船業界はある程度の活力を維持しているが、韓国全体の景況感の改善を支えるだけの力はないとみられる。

 韓国の輸出が短期間で減少トレンドを脱する展開は想定しづらい。新型コロナウイルスの感染が拡大して以降の世界経済を振り返ると、4月の上旬から中旬にかけてが底だった。それ以降、5月、6月と米国の緊急経済対策などが支えとなり、世界経済は徐々に、かつ緩やかに底を打ち、上向いた。

 7月以降、世界的に感染が再拡大している。それによって、経済環境は再び悪化しつつある。米中対立の先鋭化も各国経済に重石だ。デジタル化など成長を支える動きも進んではいるものの、基礎資材や耐久消費財を中心に世界の需要が低迷し、貿易取引は下押し圧力にさらされている。当面、韓国の輸出は減少傾向をたどる可能性がある。それに加えて、韓国は中国への半導体供給を見直すよう米国から圧力をかけられている。