昨年11月26日にダイヤモンド・オンラインで筆者が執筆した記事『なぜ鉄道にはホテルや飛行機のように「大胆値下げ」がないのか』にて鉄道における時間帯別運賃の可能性について述べた。掲載当時は当然ながらコロナウイルスの発生など予想もしていなかった。しかし、今回の一連のコロナ騒動を受け、JR東日本が「時間帯別運賃」を検討しはじめたことで絵空事ではなくなりつつある。

 公共交通である鉄道がこのような「窮余の一策」を打たなければならないのも致し方ない。ご存じの通り、いままで通勤電車を使っていた多くの企業が通勤自体を避ける動きが出ているからだ。

 例えば日立製作所は2021年4月以降の国内社員の出社率を50%にするとし、富士通にいたっては「通勤定期券代支給廃止」を掲げた。売り掛けをつくるような業態と違って、鉄道は毎日の切符の売り上げによる現金収入、さらには6カ月定期といった前金でキャッシュをたくさん手に取れる強みがあった。この部分を直撃してくるのだから当然大きな痛手だ。この部分の穴埋めを時間帯別運賃で賄っていくのも手法の一つだ。

鉄道の「運賃」と
「料金」の違い

 さて、今回話題になっている「時間帯別運賃」であるが、そもそも列車に乗る時にかかる金額というのは「運賃」と「料金」に分けられる。

 運賃は乗車する際には基本的に必ず必要なのに対し、料金は「速達性」「座席指定」「良い設備」など特別なサービスを受ける時に支払うものだ。

 自由に設定がしやすい「料金」に比べて、「運賃」は上限運賃制度という鉄道事業法によって定められたルールにより、現在定められた上限運賃を上回る金額設定が難しい現状がある。

 つまり盆・正月やゴールデンウイークに、驚くほど高値がくホテル料金のようなプライシングは鉄道運賃では簡単にできない。