新型コロナウイルスが直撃!
メガバンクの4~6月期決算が出そろう
銀行にとっての“コロナ禍”の度合いを示す指標が出そろいつつある。降って湧いた資金需要は確かな実績として残っているが、しかし――。
銀行業界の2021年3月期第1四半期(4~6月期)決算が続々と発表された。特にこの第1四半期は、銀行業界が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急速な経済の冷え込みの影響を大きく受けた決算といえる。
コロナの感染拡大が国内で本格化したのは、3月のことだ。4月7日には政府が緊急事態宣言を発令し、約2カ月後の宣言解除まで、感染者の増加を防ぐために多くの企業が活動自粛に踏み切った。企業からは運転資金などの需要が噴出し、資金ニーズに応えるべく、5月に民間金融機関でも無利子・無担保の制度融資の受け付けが始まっている。
こうした理由から、邦銀の貸出金残高は近年まれに見る勢いで増加した。今年3月末と6月末を比較すると、三井住友銀行の貸出金残高は80.2兆円から84.1兆円まで3.9兆円伸びている。去年3月末から今年3月末までの増加額は3.8兆円であったため、3カ月間で1年分以上の融資額を実行したことになる。三菱UFJ銀行の3カ月間の増加幅は3.4兆円で、みずほ銀行は4.9兆円と、3メガバンクそろって一様に伸ばした様子がうかがえる。
ただ、融資の急増はすぐさま銀行に大きな恩恵をもたらすわけではない。