「and」「but」を安易に使わず、短文に分けてから因果関係を示す

 そこで気を付けるべきは、安易に「接続詞のand」を使わないことです。前後のブロックがどういう関係性にあるか、順接なのか逆接なのか、1文1文を区切って構造を考えてください。

 例えば、「第1四半期に赤字が出たから、プランを変えた」と言いたい場合。便利な「and」を使って「We had a loss in the first quarter, and we had to change the plan.」とも言えますが、もし、赤字とプラン変更に強い因果関係があるならば、こう言い換えた方が明確です。

 We had to change the plan, since we made a loss in the first quarter.
 →第1四半期に赤字を出したから、プランを変える必要があった
 We made a loss in the first quarter. So, we had to change the plan.
 →第1四半期に赤字を出した。それゆえ、プランを変える必要があった

 あるいは、もし2つの関係性を示す必要がなく、淡々と事実を積み上げるのであれば、下手に「and」でつなげるより、2つの文章に区切った方が、シンプルに事実であることが伝わります。

 We made a loss in the first quarter. We had to change the plan.

 このように、何気なく「and」でつなげがちな文章を、まず短文に分ける。そのうえで「because」「so」「therefore」などを使って因果関係を示していくのです。

 同様に、逆接の際は、「but」より「however」を使うのがよいでしょう。「but」も「and」同様、意図を考えず、安易に使われがちだからです。

 例えば、「We made a loss in the first quarter, but we did not change the plan.」という文章であれば、「We made a loss in the first quarter. However, we did not change the plan.」と、2つのシンプルな文章にすることができます。

「but」は接続詞であり、2つの文章をつなげる宿命にあるため、長文化を招きます。「However」は副詞なので文頭に置き、単文のなかで活躍できる言葉です。単文を主体としたシンプルな言い方に慣れるためにも、「however」はおススメです。

 最後に、「関係代名詞をなるべく使わない」ことも意識してください。

 例えば「~をしたのは彼です」という日本語を英語に置き換える際、「~ is the man who ~」という形が多用されます。しかし、「He is the man who made this plan.」と回りくどく言わなくとも、「He made this plan.」とシンプルに短くできます。関係代名詞の前後をばっさり切っても通じるなら、その方がよっぼど伝わりやすいです。

 あるいは、2つの短文に分けましょう。「She comes from Shizuoka, which is very famous for tea and oranges.」と言うなら、「She comes from Shizuoka.」「Shizuoka is very famous for tea and oranges.」と短く区切った方が簡単ですし、英語が母国語でない私たちにとって、発音しやすく、相手に理解されやすいのです。

 受験英語の影響なのか、日本人はwhichなどの関係代名詞を多用しがちです。しかしそれでは文章が長く、あるいは複雑になりすぎて、意図が伝わりにくくなります。「文法的な正しさ」と「伝わりやすさ」は別物です。

 関係代名詞は情報を付加するのに便利ですが、相手はコンピュータではありません。正しく盛り込めばすべて理解してくれるという想定には無理があります。どうやったら伝わりやすいかに心を砕くべきです。英文は短ければ短いほど、シンプルであればシンプルであるほどベターなのです。

 短い文章というものは、そもそも論点が絞れています。短く区切った文章をどう組み立てていくか。それにより、自分の言いたいことにロジックが通っているかをチェックすることにもつながります。

 それでは、次回は論理的思考の本丸、「ピラミッド構造」の使い方をご紹介します。