もともとグローバリズムというのは、それぞれの個別国家の思惑や利害が反映された形で進んできたが、とりわけ世界一の大国である米国の思惑に大きく影響されることを肝に銘じなければならない。

中国流グローバリズムの浸透
影響力拡大に多様な戦略

 一方で中国は表向き、グローバル化に積極的であり米国とは正反対の戦略のように見える。だが「自国利益第一」ということでは米国と変わりはない。

 中国は1978年の鄧小平(とうしょうへい)の改革開放路線により、外資を導入し、経済成長を進め、2001年にWTOに加盟してから、世界を相手に貿易や海外投資を拡大し、今や米国に次ぐ世界第2位の経済大国になった。グローバリゼーションの果実を受けた代表といえる。

 中国がうまいのは、技術だけでなく外国の政策とその成功と失敗を貪欲に学び、吸収することだ。

 例えば筆者が特許庁や内閣の知財事務局に務めていた時には、毎年、対日調査団を送ってきて、日本の特許政策や技術政策を詳しく調べ、それを中国で実践し、翌年はさらに詳しく調べることの繰り返しだった。

 中国のグローバル戦略は独特のものだ。

 第1の特色は、「中華民族の栄光」を目標にしていることだ。

 米国は「自由と民主主義を世界に広げる」という理念を前に出しているが、政治理念を前に出すと、意見の合わない国が出るため、中国は政治理念を外国に押し付けない。「人類運命共同体」を作ると言うが、明確な政治理念ではない。

 第2に、「チャイナファースト」を明確にしている。データ保護法でも中国内にデータのサーバーを置くとか、特許はまず中国に出願することを義務付けている。

 コロナ対策でもマスクを国内に優先的に供給したが、外国はそのことには文句を言えないし、中国もそれは当然という姿勢だ。

 だがその一方で、圧倒的な消費人口を有していることを武器に世界の企業を引き付け、さらには国際政治での影響力を強めるために多様な国際戦略を使っていることが、第3の特色だ。

 代表的な「一帯一路」構想は、概念を明確にしていないため、多くの国の参加を可能にしている。