中国国旗中国の次期5カ年計画の草案が、近々発表される見込みだ。習近平はどこへ向かうのか(写真はイメージです) Photo:123RF

次期(第14次)5カ年計画・草案は
10月の5中全会で発表される見込み

 中国の次期(第14次)5カ年計画(2021~2025年)の草案が、10月頃に発表される予定である。国家の中長期的な政策の方向性が示される重要会議である中央委員会第5回全体会議(5中全会)が10月に開催されるが、そこで次期5カ年計画が発表される見込みだ。

 10月に開催される5中全会での主な議題は、経済・社会政策の柱となる次期5カ年計画と2035年までの長期目標である。中国を取り巻く環境が大きく変化するなか、習近平政権がどのような方針を打ち出すかが注目される。

前回の5カ年計画のポイント
産業高度化、一帯一路、党指導強化

 前回の5カ年計画を振り返ると、習近平政権は「国内外で反発があろうとも強国を目指す」という断固たる方針を打ち出した。2015年秋に発表された草案では、年平均6.5%以上の経済成長の持続などが重点政策として設定され、産業の高度化、一帯一路構想、共産党の指導強化の3点がポイントであった。

 中国の急速な経済発展に伴い、米中の産業構造は補完関係から競合関係へシフトしつつある。水面下で産業の高度化を進めることで、米中対立の激化を回避するという選択もあったが、習近平政権は前回の5カ年計画で産業の高度化を全力で進めることを明らかにした。

 また習政権は、前回の5カ年計画にて一帯一路構想を打ち出すなど、これまでの「才能を隠して、内に力を蓄える」(いわゆる「韜光養晦(とうこうようかい)」)という外交・安保の方針を大きく転換した。

 そして習政権は、共産党の指導強化に向け、政府は企業に対して共産党組織を企業内に設立するよう求めた。政府や国有企業による民間企業への出資も拡大した。民間企業に対する国有企業との提携要請も増えた。