インターンシップ選考が
就活を制する2つの理由

 インターンシップはもともと、就業体験や企業理解の場として位置づけられていた。しかし、先に述べた通り、昨今の受講生の様子を見ていると、インターンシップ選考を制する者が、就職活動を制するといっても過言ではない。

 その理由は2つある。

 1つ目は早期に選考対策を行えるということ。インターンシップの選考対策は、そのまま就職活動の対策にもなる。インターンシップの選考対策に取り組んだ学生は、就活準備が不十分な学生に比べて、実際の本選考で優位に立てることが多い。受かってインターンシップに参加できれば、そのまま本選考に進める可能性もあるが、仮に受からなかったとしても、その「失敗経験」を本選考に生かすことができる。実際、インターンシップの選考に落ちたけれど、本選考は通過して内定をもらったという学生もいる。

 2つ目はさまざまなチャンスに恵まれるということ。インターンシップに参加した就活生の中には、インターンシップ後に企業からの特別選考会や社員交流会などに呼ばれる人がいる。当然、こういった機会を手にした学生は、内定をもらう可能性も高くなる。

 このように、インターンシップ選考や参加時のパフォーマンスが、就職活動の成功につながるのが実情だ。

 この7〜8月にかけて我究館に来てくれた学生に聞いてみたところ、口々に言うのは「インターンシップの選考が通らない」ということである。夏のインターンシップがうまくいかないというのは、毎年聞く悩みだ。しかし、今年はその相談数が2割から3割ほど増えている。

 理由としては、コロナ禍における求人倍率の変化や21年卒の内定取り消しなどの影響が挙げられる。景気後退のニュースなどを見て、学生たちは例年よりもナーバスになっている。加えて、「夏のインターンシップの選考落ち」という事実が、事態をより深刻化させている。売り手市場といわれているときは、「1社落ちたら次」と切り替えもできるが、ネガティブな情報を耳にしてしまうと、インターンシップの選考に落ちただけで、「就職が決まらないのでは?」と、就活に対する不安も大きくなってしまう。

 そんな状況下で、インターンシップの選考を突破するポイントの1つが筆記試験対策である。前述の調査によると、6月時点でのインターンシップ選考では、多くの企業がエントリーシートの提出と筆記試験を実施している(図2参照)。

※筆記試験とは?
有名なのがSPIとテストセンター、それ以外に玉手箱、TG-WEB、GAB、CAB、各社の独自開発テストと多岐にわたる。テストセンターは実際に会場での受験になっているので、コロナの影響により最近は自宅でオンライン受験する形式が増えている。