政府の公募による洋上風力発電プロジェクトのコンペはどの陣営が優勢か、ほぼ見えていた。しかし、ここにきて経済産業省資源エネルギー庁が電力の買い取り価格について、予想より低い価格設定を示唆。そうなればコンペで優勢に立つ陣営のプランは崩れ、形勢逆転も起こり得る。エネ庁はなぜ方針を変えたのか、なぜ今動いたのか。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
エネ庁が方針変更を示唆
電力買い取り価格を低くしてきた
日本では今、電力会社や総合商社、ゼネコンなどが政府の公募による洋上風力発電プロジェクトのコンペを勝ち抜こうと、大バトルを繰り広げている。
コンペの第1弾は政府が公募する長崎県五島市沖、秋田県能代市、三種町、男鹿市沖と由利本荘市沖(北側・南側)、千葉県銚子市沖の計5エリアで実施される。各エリアでどの陣営が優勢であるかは今夏までにほぼ見えてきた。
ところが、ここにきて情勢をかき乱す強風が吹いた。
経済産業省資源エネルギー庁は8月19日、調達価格等算定委員会を開催した。長崎県を除く上記4エリアの洋上風力発電で生み出した電力を「固定価格買取制度」(FIT)によっていくらで買い取ってもらうかを有識者らが議論する中で、エネ庁は巷(ちまた)で予想されていた価格よりも低く設定することを促した。
価格が予想より低く設定されれば、優勢に立ってきた陣営のプランは崩れ、形勢逆転も起こってくる。