自分の中に、気づいていないアイデアが必ずある

気づかなかったのは、しょうがない。

誰だって、いくら気をつけていたって、うっかり忘れ物をすることはある。

しかし、自分も考えていたのに、とはっきり覚えている時は、自分でそれを捨てた、選ばなかった、ということになります。

それを深掘りしても大したものにはならないだろう、と自分で見切っていたわけです。

そして、他を選んでしまった、ということになります。

もし、あの時、あっちを選んでいたら......。

そんな後悔を大切にしてみてはどうでしょうか。

「こういうこと俺も考えたことあったのになぁ」と気づくのは、当然ながら世の中に出た何かを見た時ですよね。

ということは、まだ世の中に出ていないから気づけていないだけで、他にも過去に自分が考えたことの中にはこの先誰かが実現すると、あ~、こういうこと俺も......と再び悔しく思うアイデアがあるかもしれません。

あるかもしれません、というよりは、きっとある。

だって、ないとすれば、今後の人生で二度と「俺も考えたことあったのになぁ」と思うことはないということになる。

きっとありそうですよね。

ということは、やっぱり自分の中に気づいていないアイデアが必ずあるのです。

自分の考えたものの中に面白くなるヒントがあるのなら、それだけは見落とさないようにしたい、と考えてみる。

現実的な「偶然の掴まえ方」とは、こういうことではないでしょうか。

ウルトラスーパーなアイデアがどこにあるかは誰にも分かりません。今まで探しても見つからなかったのだから、将来的にも見つかる確率が低い。

が、一度でも「こういうこと俺も~」ということがあったとしたら、かつて確実にあなたの頭の中に存在していたわけです。

その時自分で選べなかったことを、選べるようになればいい。

それは僕の頭の中にも、きっとある。

それは、ノートの中に、ひっそり書いてあるはず。

他と似ていない単語が、きっと書いてある。

それをズバリと選べれば、カッコいい先輩になれるだろう。

選び方、を変えてみよう。

「俺もこういうこと考えたことあったんだけどなあ…」現象
井村光明(いむら・みつあき)
1968年、広島県生まれ。東京大学農学部卒。博報堂クリエイティブディレクター/CMプラナー。
主な作品に、日本コカ・コーラ「ファンタ」=ACC賞グランプリ2005受賞、U H A味覚糖「さけるグミ」=ACC賞グランプリ・カンヌライオンズフィルム部門シルバー・TCC賞グランプリ2018受賞、森永製菓「ハイチュウ」、永谷園「Jリーグカレー」、コンデナストジャパン「GQ Japan」、エムティーアイ「ルナルナ」、福島県「TOKIOは言うぞ」など。コミカルで独自の世界観を持つ作風で知られる。宣伝会議コピーライター養成講座の講師も務める。著書に『面白いって何なんすか!?問題』(ダイヤモンド社)。

参考記事
「似ていること」にルーズな人