もう一つ、他人との濃厚接触が避けられず、罹患する可能性が高い職業であることを知りながら、金が無いので仕方なく従事しているという人も多いであろう。そういう人には、自身の罹患を防ぐとともに他人への感染も避けてもらいたいので、ぜひ接種してもらいたいのだが、そういう人こそ接種の費用を惜しんで接種しない可能性が高そうだ。

 そうであれば、やはり無料で接種できるようにして、そうした人々が積極的にワクチンを接種するように仕向けることが重要であろう。

優先順位のつけ方は難しい

 ワクチンの量が国民の数だけ確保できていて、接種に時間がかからないのであれば、無料化が望ましいことは上記の通りであるが、ワクチンの量に限りがあるか、国民全員分を確保するのに時間を要する場合には、優先順位の問題が出てくる。

「必要性の高い人から順番に」と言うのは簡単だが、必要性を誰がどのように判断するのか。医療従事者はよいとしても、それ以外については難しい判断が必要である。

「高齢者を優先すべきだ」というのは常識的な意見であろうが、活発に動き回って、多くの人に感染させてしまうかもしれない若者を罹患させないことの方が効率的かもしれない。

 金持ち優遇との批判は受けるだろうが、ワクチン総量の5%だけ入札すると、金持ちが高い金額を払って接種を受けるであろう。その代金で一般人のワクチンの費用の一部が賄えるなら、それも一つの考え方だと思う。

 さすがに政治的に通らないだろうが、「日本経済に重要な貢献をしている人には優先的に」という考え方も経済学的にはあるかもしれない。

「夜の街」の従業員に優先的にワクチンを接種させよう、という考え方だって理論的にはあるかもしれない。

 そのあたりは政治が判断することであろうから、本稿では深く立ち入らないこととしたい。

 いずれにせよ、政府が無料化の方向で検討する方針であると伝えられているので、それを歓迎するとともに、優先順位については政府の判断を見守りたい。

 本稿は、以上である。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織等々とは関係が無い。