ところが、この段階に入って初めて、実際にコンサルティング業務に従事するのは若手のコンサルタントで、問題提起してくれたシニアコンサルタントは、月に1度の会議に参加するだけだということが分かり、途端に契約プロセスが進捗しなくなるということが実に多い。
コンサルタントといっても、人によって能力レベルも違うし、経験年数も違う。何もコンサルティング会社の職位が高く、コンサルティング経験が長ければよいというわけではない。事業会社が望む課題解決に、最もマッチしたコンサルタントがアサインされることがベストだ。
サポートを得て解決したい課題が明確になったら、担当するコンサルタントがどういう人で、どのような能力や経験を有しているか、早い段階で確認することがお勧めだ。アサインされるコンサルタントの職位の高低によって、時間単価の高低が決まるので、見積もりのイメージも持ちやすい。
2.コンサルタントの上司と部下で言うことが異なる
実際にコンサルティング業務に従事する若手コンサルタントと、月に1回程度会議に参加するシニアコンサルタントとで、言うことが異なるという相談も実に多い。経験豊かなシニアコンサルタントが言っていることを信じればよいかと言えば、必ずしもそうではなく、特に専門性の高い分野では、若手コンサルタントの言っていることが正しいと思えることもある。
事業会社の担当者が、異なる見解が示された理由や経緯が分かれば、どちらを採用するか判断ができると思い、「異なる見解が示された背景をお聞かせいただけますか」と聞いた途端に、シニアコンサルタントから「見解が変わったことの何が問題か」「(シニアコンサルタントの)見解に従わないと大変なことになる」と逆ギレされたというケースもあった。
プライドの高いコンサルタントには、重々、「異なる見解が出たことを責めていませんよ」「両論出していただいてありがたいと思います」「異なる見解の正否を判断しようとしているのではなく、どちらが当社の現状に合うが検討したいだけですよ」という前置きが必要だ。
3.カタカナオンパレードで言っていることが分からない
これは、若手コンサルタントに多いケースだが、英語や和製英語のオンパレードで、説明を聞いても、何を言っているのかついていけないということがよくある。事業会社の上司からは、「だから、しっかり勉強しておけ」と言われ、自分の勉強不足と思い、聞くに聞けずに、分からないままプロジェクトが進んでしまうということになりかねない。
分からないフレーズがあったら、その場で説明を止めて、「どういう意味ですか」「こういうことですか」と質問することがお勧めだ。実際に質問したら、若手コンサルタントがそのフレーズの意味を説明できなかったという笑えない事例もあるが。
グローバルコンサルティングファームのプロジェクトマネジャーや若手コンサルタント向けに実践スキル演習を実施してきたが、小難しい英語や和製英語を並べて論じるのではなく、難しいことを誰でも分かる平易な言葉で説明できるコンサルタントが、私は優秀だと思う。