そもそも公的年金制度が出来たのはそんなに大昔のことではない。現在の厚生年金法の前身は戦時中の1942年6月に施行された「労働者年金保険法」だが、最初は民間企業で現業に従事する男性が対象であった。その後、女性や事務系の労働者にも適用が拡大されたのは1944年であるからほぼ終戦の頃といってもいい。さらに国民年金法によって1961年に国民年金がスタートし、現在の国民皆年金制度となった。

 ではそれまではサラリーマンが定年退職した後はどうやって生活していたのかと言うと、基本は自分で老後に備えた資産作りをすることでまかなっていたわけである。さらに、戦前は長子相続によって長男が親の遺産を相続する代わりに年老いた親の老後の生活を見るというのが一般的であった。言わば基本は「自助」だが、子供が親の面倒を見る、あるいは親戚や地域で助け合うという「互助」の仕組みが普通だったのだ。

 ところが戦後、高度成長時代となり、地方から大都市へ働きに行く若者が増えたことで核家族化し、大家族制を維持し、子供が親の面倒を見るというのは実質的にできなくなった。そこで老後の面倒は社会全体で見るべきであるということで誕生したのが「共助」である公的年金制度なのだ。