「45年前、地縁も血縁もない横浜の地で、政治の世界に飛び込んでたどり着いたのが小此木先生の事務所でした」
首相の菅義偉は9月21日午後、秘書として仕えた元通商産業相、小此木彦三郎の墓前で頭を垂れた。めったに感情を表に出さない菅が込み上げるものを抑えるかのようにテレビカメラの前で切々と思いを語り、こう付け加えた。
「国民のために働く内閣として、期待に応えられるよう頑張りたいとお誓いした」
菅は16日の首相就任以来、「国民のために働く内閣」というフレーズを繰り返す。ただし、「国民のために働く」という目標が何なのかはいまひとつ判然としない。「理念が見えない」といわれるのもこのためだが、菅はそう指摘されることを極めて不快に思っているようだ。菅側近はこう解説する。