親が就活生の子に
言ってはいけないこととは?

 就職みらい研究所の増本所長は、10年ほど前から大学などで「就活生の保護者向けのセミナー」に登壇し、親の悩みを聞くことも多いという。

「よく寄せられる悩みや質問は、『子どもの悩みがわからない』『何をしたらいいか、何が嫌がられるか分からない』というもの。親に求められているのは、このアンケート結果からも分かるように、金銭的・物質的なサポートや彼ら・彼女らの意見を否定せずに認めることだ」(増本所長)

 増本所長は、特に親から就活生に行ってはいけないこととして、周りと比較したり、行動を指図したりすることを挙げる。

「『(同級生などの)○○くんは内定をもらったらしいよ』など周りと比べるような発言や、『これをやっておいた方がいいんじゃないか』など、ちょっと耳にした都市伝説などを真に受けて指図をするのは、絶対に避けるべき。決して親も悪気があってやっているわけではないが、お互いの状況をよく理解した上で慎重に意見を言うべきだろう」(増本所長)

 では、就活生の親はどういうスタンスで子どもと接して、支えていくことが大切なのだろうか。

「まず、親はこれまで子どもと一緒に人生を伴走し、さまざまな岐路に立ってきている。就職活動は自己分析が大事だが、なかなか自分では客観視が難しい。そこで親としては、子どもの過去を踏まえて『あのときこうしていたよね』など、フィードバックしてあげることが大切だ。

 また、仕事をしている人であれば、親も子どもにとっては社会人の先輩。どんな仕事をしているのか、楽しそうな様子を伝えたり、会社の中の話をしたりするのも、就活生にとっては有益な情報源になるだろう」

 現在の就活生のおかれる環境は、親世代が就職活動をしていた約30年前とは大きく異なっており就職の常識がすっかり様変わりしているのは、前回の記事でも紹介したとおりだ。

 就活生であるわが子を陰ながら支えることを基本としながら、子どもを誰よりも長い時間そばで見守ってきた存在として、また社会人の先輩として、自分の価値観を押し付けずに、彼ら・彼女らの立場に立って支援をしてほしい。