「学校スタンダードによって児童は自分で物事を考える力をそがれています。ルールを逸脱して罰を受けるのが嫌、先生に叱られるのが嫌という理由だけで、他者の痛みや思いやりの気持ち、物事への納得感なども得ないままに、ただ従順に育ってしまう。こうしたダークペダゴジー(強制や賞罰などを用いた教育行為)を受け、従順さを求められながらも“創造性”が必要だと矛盾したことを言われたり、小学生の段階から“将来の夢”を持つようにとプレッシャーをかけられる。その結果、どんどんストレスがたまっていき、『よい子』を振る舞いつつも、いじめなどの問題行動に走ってしまうのでしょう」

 現在は学校スタンダードを徐々になくしていこうとする風潮もあるが、それによって再び学級崩壊が起こるリスクを懸念する声もある。あるいは、学校スタンダードがあるから校内の秩序が保たれているという言説も根強いため、抜本的な改革には至っていないのだ。

親が与える条件付きの愛と
自己責任論がいじめを加速

 しかし、児童の問題の原因を学校教育だけに求めてしまうのも早計だ。子どもの人格形成には「親」からの影響が大きく関係している。

「『よい子』を振る舞う児童は自己肯定感が低いという傾向があります。たとえば、冒頭で紹介した首都圏の小学校(特別支援学級のいじめのケース)は、地域柄会社役員や弁護士、医師などいわゆるインテリ層の子どもが多く通っていました。そういう家庭環境で育った児童は、親御さんから常に『勉強しなさい』と言われ続け、『“勉強ができる”○○ちゃんだから好き』という条件付きの愛を受けて育てられるケースも多い。しかし、子どもにとってその愛は、『もし勉強ができなくなったら親から嫌われてしまう…』という見捨てられ不安をもたらし、自己肯定感を低下させてしまう。そうした自己肯定感の低さを満たすために、自分より下の人間を見つけていじめようとしたり、自分がいじめられないように過剰に自己防衛したりするのだと考えられます」

 前出のアンケート結果によれば、「学校でいじめが広がっていると思うか?」という問いに「そう思う」「ややそう思う」と応えた教員は、1998年は7.9%だったが、2019年は17.7%と、10ポイント近くも増加しているのだ。