サッカー日本代表が再始動、コロナ禍のオランダでアフリカ勢と戦う意義Photo:Dean Mouhtaropoulos/gettyimages

新型コロナウイルスの影響で活動停止を余儀なくされていたサッカーの日本代表チームが、オランダで今年に入って初めてとなる活動を行っている。9日に行われたカメルーン代表との国際親善試合を0-0で引き分け、13日にはコートジボワール代表との一戦に臨む。依然としてコロナ禍が収束しない状況下でヨーロッパ組だけをあえてオランダに集結させ、ヨーロッパ勢ではなくアフリカ勢との連戦をマッチメークした意義はどこにあるのだろうか。(ノンフィクションライター 藤江直人)

新型コロナウイルスでサッカー界も激変

 アフリカ勢のカメルーン、コートジボワール両代表とオランダ・ユトレヒトのスタディオン・ハルヘンワールトで対戦するフル代表のメンバーが発表された今月1日。オンラインで行われた記者会見で、日本サッカー協会(JFA)の技術委員会のトップの反町康治委員長が苦笑いを浮かべた。

 「ヨーロッパへ行ってヨーロッパのチームと試合をしないのは、少し不思議な気分になりますよね」

 オランダの地でオランダ以外の代表チームと日本が国際親善試合を行うという異例のプランがスタートしたのは8月。国際サッカー連盟(FⅠFA)とアジアサッカー連盟(AFC)が協議した末に、10月と11月に予定されていたワールドカップ・アジア2次予選が延期されたことがきっかけだった。

 当初は、今年3月と6月の国際Aマッチデーで、日本はミャンマー、モンゴル、タジキスタン、そしてキルギス各代表と2年後のカタールワールドカップ出場をかけた、アジア2次予選を戦う予定だった。しかし、世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスがサッカー界をも直撃し、日本国内ではJリーグをはじめ、すべてのスポーツが活動停止や各種大会の開催中止を余儀なくされた。もちろんフル代表も例外ではない。3月分が10月に、6月分が11月にそれぞれ延期されたが、感染状況が改善されていないとして、8月に入ってアジア予選全体が来年3月に再延期されたのだ。

 大前提としてFIFAが定める国際Aマッチデーにおいて、各国協会は代表選手を招集できる権利を持つ。現状の国際Aマッチデーは3月、6月、9月、10月、11月の年間5度で、それぞれにおいて最大2試合ずつ、ワールドカップ予選をはじめとする公式戦や国際親善試合を組める。

 ただ、新型コロナウイルス禍に見舞われた今年に関しては、当初の予定が延期された3月と6月に9月を加えた3度の国際Aマッチデーで、JFAはフル代表の活動も休止させることを決めた。その後にアジア2次予選が再延期されたものの、FⅠFAは代表チームそのものの活動は禁じていない。