こうした流れの中で、以前と比べものにならないくらい重視されているのが「学業」だ。

「大学の成績が重視される上、入社試験のハードルも上がっている。親御さんの世代では学業よりも、面談で人間力やコミュニケーション能力を見た上で、将来の伸びしろを重視するポテンシャル採用が多かったと思う。しかし今の学生は、学業の成績から『やるべきことをやり切れるか』といった自己統制力、考え抜く力、成長意欲を見られている」(佐野氏)

 また、三井物産では、21年卒のエントリーシートで「自分史」の提出を求めるなど、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)のみならず、その人の本質を知りたいという企業も出てきている。

 マイナビの高橋誠人編集長は、こうした自分史などによって「何かに臨んだ際に、どういう価値観を持って、PDCAを回していったか。乗り越える力のようなものを見られている」と語る。

商社を目指す人材が
やっておくべきこと

 では、商社を目指す就活生は、どのようなことに取り組むべきだろうか。佐野氏は、「新しいことにチャレンジする、成長し続けることを繰り返すこと」をベースにしながら、以下の3つを重視するといいとアドバイスする。

多様性:昔は均一的な人材が多く多様性に乏しかった商社も、2000年代半ばころから外国人採用、女性採用、キャリア採用などさまざまな属性の人々を採用し始めた。こうした中では他人を尊重することに加えて、自分らしさが問われる。

信頼:人間力が大事になる。謙虚、感謝、礼節を重んじることがカギだ。

創造力:学業はもちろん、考え抜く力を身に付けること。そして、プログラミングができるようになるほどではないが、世の中の動きに対応するためデジタルテクノロジーに関するリテラシーを身に付けることが重要になる。