トンネル付近の地盤は強固だが
地表から数メートルには弱い層も

 ただ、地下トンネル工事という自然を相手にするプロジェクトゆえ、机上の合理的な計画がそのまま通用するとは限らないのが、こうした巨大土木プロジェクトの常である。

 しかも「大深度地下」と呼ばれる地下40メートル以上の深さを掘り進むことで、地上の土地所有者の同意が原則不要となったものの、その地質的な影響を事前に予測することは困難だった可能性がある。

 ネクスコ東日本によると、工事現場となった地下約47メートル付近は、東久留米層と呼ばれる地層であり、砂層(砂でできた層)に一部、礫層(石ころの層)が入っており、総じて強固な地層だという。検討委員会への報告によると、トンネル内で事故や異常につながるひび割れ、漏水は確認されていない。

 一方で、今回の現場の地表では道路の陥没だけでなく、住宅の玄関前のコンクリートのズレや、建物の壁のヒビも発生した。地元で民生委員を務める東村達夫さんは、シールドマシンが通過した9月中旬、自宅で強い振動を感じたことがあったという。

 ネクスコ東日本によると、大深度地下をシールドマシンで掘り進むという今回と同様に行われたこれまでの外環道の工事によって、東村さんが訴えたような地上の住民が振動を感じたとの報告はあったそうだ。しかし、道路の陥没だけでなく、今回生じたような地面や建物の亀裂やヒビも報告はなかったという。

 また国土交通省によると、国などの認可を受けた大深度地下の工事は過去5件あり、うち外環道と、大深度地下に送水管を通す工事を行った神戸市の工事が着工済みだ。神戸市水道局によると、今回のように道路や建物への損害が発生した事例はないという。

 ただ土木工事に詳しい関係者によると、神戸市の工事で使われたシールドマシンの直径はわずか3メートルであり、地下40メートルの深さに対して13分の1しかない。一方で今回調布市の現場で使われたものは16メートルと巨大で、47メートルという深さの3分の1にも達する。「これだけの大きさだと、地表に影響を与えることがあるのかもしれない」(前述の土木工事に詳しい関係者)。

 さらに、今回陥没が起きた地表付近の地盤は、必ずしも強固とは言えないようだ。地表に最も近い部分は、数メートルの深さの盛り土で固められていた。一般的に、盛り土は造成時に締め固められるため、強さがある。ところが、さらにその下の数メートルは「沖積層」と呼ばれる、地震などによって液状化現象が起きやすい弱い地層だった。

 今回の陥没の深さは5メートルだが、盛り土の中で起きたのか、沖積層にまで達していたのか、現時点では不明だ。ただ東村さんによると、住宅が立ち並ぶ現場付近は数十年前までは水田が多く、すぐ横を流れる入間川は現在のようにコンクリートで護岸工事がされるまで数回、護岸工事後も1回、氾濫を起こしていたという。一般的に水害があった土地の地盤は、決して強くないと考えられることが多い。