知識なし、プログラミング未経験でもOK
それ以上に求められる「能力」とは
この中でもシステムエンジニアやプログラマーに関しては、大学時代に知識やスキルを身につけていないと就けないのではないかと思う人もいるかもしれない。
確かに近年ではジョブ型採用として「デジタル人材コース」のような職種を用意し、新卒学生の中からスペシャリストを採用する企業もある。しかし実際は、新卒では知識やスキルがない学生にも広く門戸が開かれており、入社後に学ぶ環境が用意されていることが多い。実際、文系学生でも入社してから活躍できるケースがたくさんある。
では、知識やスキル以上に、IT人材に求められているのはどのようなことなのか。
「確かにITスキルやプログラミングの知識があるに越したことはない。しかしそれ以上に大事なのは、課題を認識して解決できる能力や論理的思考、そして日々発展するIT技術に対する学習意欲があるかどうか。ITスキル以外のそうした素養が重要視されている」(リクルートキャリア・富士倫行氏)
「IT業界=ブラック」と反対する親も
この10年で働く環境は劇的に改善
冒頭で紹介したように、近年、IT業界は就活生からも人気の高い業種になっている。しかし、IT企業から内定をもらった就活生の中には、親が「IT業界はブラックだ」というイメージを持っていて入社を反対したことで、泣く泣く入社を諦めたケースも少なくないという。
「学生に対して自社の事業内容などについて理解してもらった上で、子どもの入社を不安に思う親御さん向けに、人事担当者が説明会を開く企業もある。親御さんは、事業の安定性や将来性、さらに働く環境に対して不安を持っているケースが多いので、それに対して具体的に説明をすることで、安心してもらっているようだ」(富士氏)
前述したように、確かに以前はIT業界の長時間労働を背景にした、うつ病や過労死は大きな社会問題になっていた。しかしこの10年ほどで、IT技術の劇的な進歩や企業の働き方改革が進んだことで、むしろ働きやすい環境が整った企業が増えてきている。
「現在のIT業界は、他の業界以上に多様性を受け入れる風土を備えている印象がある。男女の差がなく評価される平等性もあり、新型コロナウイルスの感染が広がる以前からリモートワークや時短勤務など柔軟な働き方が認められてきた企業もたくさんある。就活生の親世代が考えるIT業界の実態とは、近年、大きく様子が異なってきていることをぜひ認識してもらいたい」(福井氏)