今やITは経営の重要な柱に
隆盛誇るIT業界の4分類

 こうして以前は「ブラック」のイメージが強かったIT業界だが、現在はどのような状況になっているのだろうか。

 IT業界全体の売上高は、18年度には26兆円に上り、09年度の16兆円から約10兆円も拡大するなど、日本のGDP成長率が1%を切る時代においても成長が著しい(総務省・経済産業省「2019年情報通信業基本調査」インターネット附随サービス業と情報サービス業の売上高合計より)。

「従来は『ヒト』『モノ』『カネ』の3つを経営資源の中核として捉えることが多かったが、今ではそれに『IT』が加わる」(リクルートキャリア・福井耕造マネジャー)ほど、ITは経営の重要な柱になりつつある。

 また、IT企業の業態も大きく変化している。パソコンなどハードウエアを製造していたIBMが今ではコンサルティング事業やソフトウエアの開発へと大きくかじを切ったように、「ハード」から「ソフト」へIT業界の主力事業は変化しているのだ。

 こうして現在はIT業界と一口に言っても、実にさまざまな企業がある。ここでは4つの種類に分けて紹介したい。

 まず1つ目は、先ほども述べたように90年代にはIT業界の大部分を占めていた「SIer」だ。例えば、富士通、NTTデータ、SCSKなどが挙げられる。

 2つ目は、「ソフトウエア開発企業」。多くの就活生にもなじみのあるスマートフォン向けのアプリやゲーム、企業向けのセキュリティソフト、経理管理ソフトなどを開発する企業だ。つまり、時代のニーズに合った機能を搭載したさまざまなソフトを開発するのが仕事で、スマートフォンが本格的に普及したここ10年で、多くの企業が参入し、人材の需要も高まっている。マイクロソフトやサイボウズなどが代表例だ。

 3つ目は、「ハードウエア開発企業」で、一般的にはコンピューターや周辺機器の開発・製造を行っている。世界ではAppleはもちろん、日本ではパナソニックがこれに含まれる。

 4つ目が「インターネット企業」で、企業向けサービス(BtoB)を行う企業と、消費者向けサービス(BtoC)を行う企業に大別できる。前者は、企業のECサイトを制作する企業やインターネット広告代理店などがある。また、後者にはSNSやチャット等のサービスを提供する企業、ECサイトを運営する企業があり、近年さらに増加している。サイバーエージェントや楽天などがその代表例になる。