読書のベースは対比だ
本書は、議論の中でアイディアを出す方法や、自分の意見を文章にまとめる方法、文章を正確に理解する方法などを広範に提示する本ですが、それを補強する豊かな教養につながる良書を紹介する役割も果たしています。
合計約100冊の書籍のガイドにもなっています。しかも本を読む技術自体をも同じ〈対比という思考法〉でご案内しています。
これまたすでに「読書法」「読書術」を説く本は世に数多くあります。しかし、それらは本の活用法紹介で、抽象的な文章を読み砕き理解する方法は教えてくれないのが普通です。
「そういうのは学校教育でやってるだろ」ということかもしれませんし、「書物の活用術」を書くほどの人にとっては、読解力はとっくに前提になっているのかもしれません。
ところが学校教育でも、文章の理解の仕方・読み方は教えてくれないのが実情です。ゆえに、本書では文章を読むスキルを不問の前提とはしないで、ちゃんと主要テーマとして解説します。
読者の皆さんに〈対比という思考法〉体得していただくために、本書は3部構成(詳細は目次をご覧ください)としました。
(1)なぜ対比は万能な思考法なのか?
第1部は、基本編です。普段から対比を意識している人は少ないでしょう。しかし、世の中を見渡せば、実はいたるところに対比が存在しています。
広告、デザイン、芸術、漫画、アニメ、映画、文学、哲学、社会学、ビジネスなどに対比があります。さまざまな事例を紹介します。まずは対比になじみになりましょう。意識するだけで、物事の見え方がガラッと変わります。
(2)対比を仕事や勉強に取り入れる
第2部は、実践編です。仕事、勉強、読書などに対比を活用する方法を提示します。
知識人の講演や書籍、採用試験、入試の小論文などをケーススタディとして、〈対比という思考法〉を実践していきます。他者のアイディア発想の仕方がわかり、自分でもアイディアを自覚的に出せるようになります。
また「読む」「聞く」「書く」「話す」が一気にロジカルになります。対比の威力を実感していただけるでしょう。
(3)議論に強くなる対比思考
第3部は、発展編です。対比を使って、さまざまな議論にチャレンジします。時事問題、ビジネスの事例、裁判、社会問題、日本と海外の比較といった具体例を用意しました。
〈対比という思考法〉を使うことで、議論の争点が整理され、「説得力のある意見」や「スジの良いアイディア」の出し方を体得できるでしょう。
(本原稿は、『対比思考──最もシンプルで万能な頭の使い方』からの抜粋・編集したものです)