田中氏と関係が深い女性が詐欺の容疑で立件されれば、金融庁が田中氏や山口銀の責任を黙認するとは考えにくい。想定されるのは、山口銀が弱小地方銀行を抱き込まされる「制裁」の再来だ。

 今回はどの地銀か。真っ先に名前が挙がるのは、山口県の第二地銀である西京銀行だ。また山口FGは今年1月に愛媛銀行と業務提携しており、広島、北九州に続く四国への進出も取り沙汰される。中国地方の地銀幹部は「事件が中四国を巻き込む再編の引き金となる可能性はある」と語る。

 OBの田中氏に社宅をあてがい、その田中氏の知人が詐欺罪で立件されれば、山口銀の内部管理体制が問われるのは必至だ。渦中の田中氏が、約四半世紀にわたって居座り続けた社宅をこのタイミングで明け渡した事実は、事件の行方と無縁ではあるまい。

 江戸城の無血開城を主導した長州藩士の地元で起きた、山口銀社宅の無血開城。それは中四国を巻き込んだ地銀再編の嵐が吹き荒れる、静かな予兆かもしれない。

イラスト
Illustration by Yuuki Nara

Key Visual by Kanako Onda