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経営者や管理職は、従業員みんなに全力でやる気を出してほしいと願うものだが、実際には最低限の義務を果たすような働き方をしたり、惰性に任せて働いたりする者もいて、ヤキモキする。では、どうしたらやる気がみなぎる職場にできるのか。その鍵を握るのが人事評価システムである。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

平等を好む日本、しかし成果主義を求める人もいる

  日本では、階級社会の欧米と違って、平等の扱いが好まれる。学校でも、能力別の教育が当たり前の欧米社会と違い、日本では習熟度別のクラス編成には抵抗が強い。レベルの低いクラスに入れられる子がかわいそうということになるのだ。また、小学1年生から能力が基準を満たさなければ留年が当たり前の欧米と違い、日本では小中学校での留年は事実上ほぼなく、大学でさえもどんなに成績が悪くても単位を与え卒業させてあげるのが一般的だ。

 そのような社会ゆえ、欧米流の成果主義により報酬や評価に差がつくことに対する抵抗は根強い。

 だが、それでは逆に、能力の高い人物や頑張り屋の人物の能力や努力が正当に評価されず、やる気を失ってしまいかねない。人間はそもそも承認欲求がきわめて強い生き物であり、人から認められたいという気持ちを持っているからだ。やる気を失えば、組織にとって大きな損失だし、うっかりすると能力の高い人物や頑張り屋の人物を転職で失いかねない。そのような人物のモチベーションを上げるには、成果主義の評価方法が効果を持つ。

 一方で、成果主義によってやる気を失う人たちがいることにも留意が必要だ。人によって外見が違うように、能力にも歴然とした個人差がある。いくら頑張っても自分より能力がはるかに上の人物にはどうにもかなわない。それが悲しい現実でもある。

 ゆえに、頑張って働いて前期を上回る成果を出しても、周囲の人たちも同じように前期以上の成果を出せば、評価は上がらず、ランクも変わらない。それでは、本人の気持ちとしては、高いモチベーションを維持するのが難しい。

 では、能力の高い人物も、能力的には平凡な人物も、だれもがモチベーションを高く維持できるような人事評価の仕組みをつくるには、いったいどうしたらよいのだろうか。