SNSのポジショントークに
踊らされてはいけない
――具体的には、投資家としてどんな勉強をするといいのでしょうか。
少額でもいいので、とにかく投資してみることが一番ですね。
知識も大事ですが、実際にやると知識と実践は全然違うと、すぐに気づくと思います。
自転車の乗り方と同じで、こうやってハンドルを握って、ペダルを漕いでって知識を得ても、実際に乗ってみないと上達しませんよね。やっぱり、まずは乗ってみる、やってみることから始めるのが一番早いんです。
たとえば私の本を読んで、「小型株集中投資ってこういう感じか」と思ったら、とにかく少額からでいいのでやってみる。インプットしながら、アウトプットする。並行してやるのが大事ですね。
自転車と一緒で、株も最初は失敗しながら上達していくものです。最初のうちに小さな失敗をしておけば、あとで大きな失敗をしなくなります。
そうやって「自らの学びに投資できる人」は、成功に近づいていくと思います。
誰だって損したくない。損したくないからこそ、本気で学ぶ。転んで痛い目に遭いたくないから、必死で自転車の乗り方を習得する。やはり、実践しながら学ぶことが、一番身につくし、上達が速いと思います。
――最近は、Twitterで有名な投資家やYahoo!ファイナンスの掲示板など、ネットの情報を頼りに売り買いしている人もいるようですね。
そういう方法は、おすすめしないです。他人の意見を鵜呑みにして、投資をくり返しても再現性は生まれません。だって、投資判断を他人任せにしていても、自分の中には経験も何も培われませんから。
たとえば、株の世界の有名人がTwitterで「この銘柄が買い」とつぶやいて、それを買わなかったとします。その後、その株が上がったら「買っておけばよかった」「今度は絶対買おう」と思いますよね。
そうやって得をしたり、損をしたりしている人が大勢いるようですが、ここでも1段視点を上げてみれば、どうしてその有名人は「この銘柄が買い」なんてつぶやくのかが見えてきます。
ひょっとしたら、裏で企業を組んで、株価を操作しようとしているのかもしれませんし、自分の保有株を値上がりさせるためにポジショントークをしているのかもしれません。
どんな理由にせよ、市場のしくみはシンプルで、その人の情報をいち早くキャッチして、なんなら一番先に買って、その後に「買いたい」という人がたくさん続くならば、さらに高値になって儲けは出ます。
そういった目の前の需給の変化を察知して、短期的な売買を繰り返して利益を得る手法も存在します。これがいわゆる「トレード」です。
それが楽しくて、手間暇を惜しまない人は、いいと思います。
――でも、遠藤さん自身はやらないということですね。
そうですね。仮に儲かることがわかっていても、少なくとも短期的なトレードは、私が目指す投資の形ではありません。
そもそも、私は「自分の時間」を投入するのは労働で、投資というのは「自分のお金を投入するもの」というふうに定義しています。
そうやってネットの情報に四六時中張りついて、ちょこちょこ売り買いするというのは、自分のお金も投入していますが、多くの時間も投入してしまっています。それは私の望む形ではないんです。
そういう売り買いに「自分の時間」を投入するくらいなら、たとえば、こうやって取材を受けて、自分なりの投資に対する考え方を多くの人に広める活動をしたり、起業家の卵のような人たちと一緒に新しい事業をつくったりすることに、貴重な自分の時間を使いたい。あと、よく晴れた日にテラスでランチビールを飲むとか(笑)。
1日中パソコンの画面に張り付いて株価チャートとにらめっこしているより、そっちのほうが人の生き方として幸せじゃないですか。
どういう人が「儲かるのか」「損するのか」という最初の話に立ち戻るなら、投資ということ自体についても、自分なりの明確な考え方やビジョンを持っていることが分かれ目になると思います。
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