人は誰でも、投資をするなら「儲けたい」「損したくない」と思うもの。でも、実際には「儲かる人」と「損する人」がいる。この差は、いったいどこにあるのだろうか?
「株はギャンブル」「投資は悪」と考える人はまだまだ多いが、勘だけを頼りにしていれば、株式投資は運任せのギャンブルになりかねない。
一時的に失敗しても、それを次回の投資に活かしていけば成功確率は高まり、失敗は単なる失敗でなくなる。自分自身の勝ちパターン(再現性)を高めていくことが、投資家としての成長となる。
株式投資は儲けることも大切だが、そのためには「続ける」ことも大切だ。
成功している投資家は、再現性を高めて投資を続けているからこそ、大きな資産を築けている。損する投資家は運良く一時的に儲けても、再現性がないため、いつまでも勝ちパターンが見つかない。そして結局、市場から退場してしまう。
株式投資で大きく資産を増やすのも、ギャンブルにしてしまうのも、自分次第なのだ。
個人投資家の間で話題となっている著書『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円【実践バイブル】』には、著者・遠藤洋さんが大学時代に知識ゼロから投資を始め、失敗と成功をくり返しながらたどりついた“投資の勝ちパターン”が詰まっている。
株価が10倍以上になる「テンバガー」はもとより、1銘柄で億単位の利益を得てきた遠藤さんに、株式投資で「儲かる人」「損する人」の違いについて詳しく聞いた。
(取材・構成 イイダテツヤ/撮影・疋田千里)

証券会社は株のプロというより
「手数料ビジネスのプロ」である

――株式投資をするからには、誰もが「儲けたい」「損したくない」と思っているわけですが、実際のところ「儲かる人」「損する人」がいるわけで、その違いはどのへんにあるのでしょうか。

 一番に思うのは「株価がどうこう」だけでなく、やはり世の中を俯瞰して、客観視できているかどうか。ここがかなり重要だと思っています。

 たとえば、最近よく質問されるのが「AIを使ったロボアドバイザーをウリにしているところがあるのですが、そういうところに投資したほうがいいですか?」というものです。

 ロボアドバイザーというのは、AI(人工知能)を利用して投資家それぞれのニーズに合った投資運用プランを自動で提案・運用をする金融商品の一つです。

 いわばAIに資産運用を丸投げするということなので、投資家は手間いらずというものですね。

――実際のところ、どうなんでしょうか?

 投資自体をまったくやってないよりは、投資したほうがいいとは思いますが、ロボアドバイザーによる投資が本当に有効で、そうしたサービスが人気になるなら、むしろ私自身は投資しません。

遠藤洋(えんどう ひろし)
投資家・自由人
1987年埼玉県生まれ。東京理科大学理工学部電気電子情報工学科在学中の夏休み、なにか新しいことをやってみようと、家庭教師のアルバイトで貯めたお金を元手に知識ゼロの状態から投資をはじめる。すると、有名企業の株より小型株、分散投資より集中投資のほうが実は低リスク・高リターンであることを実体験。大学卒業後、ベンチャー企業に入社するも、投資で得た資金を元手に26歳で独立。本質的な価値を見極め「1年以内に株価3倍以上になる小型株」へ集中投資するスタイルで、最大年間利まわり+600%、1銘柄の最大投資益+1200%など、1銘柄だけでも億単位のリターンを達成。噂を聞きつけた資産家から「10億円を預けるから資産運用して欲しい」と頼まれたこともあるが、いまのところ外部運用はすべて断り、自己資金のみで運用している。その投資経験をベースに、経営者、上場企業役員、医者、弁護士、ビジネスパーソンなど、これまで1500人以上の個人投資家を指導し「勝てる投資家」を数多く輩出。現在は投資しながら1年のうち半分は国内外を旅して自由を謳歌しつつ、次世代を担う投資家や事業の育成に力を入れている。前著『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円』がベストセラーに。

――それは意外ですね。どうしてですか?

 そもそも証券会社というのは「投資のプロ」というよりは、「投資家からお金を集めて『手数料』を得るプロ」です。そこで商売をしている会社です。

 ロボアドバイザーが人気で、そこにお金が集まるということは、それだけ「手数料を集めるビジネスが上手」ということです。

 何が言いたいのかというと、自分がロボアドバイザーの顧客になるのではなく、その会社自体に投資をしたほうがいい。私なら、そう考えます。

 これも世の中を俯瞰して、客観視するということに通じます。

「自分と証券会社」とか「自分と株式投資」という近視眼的な関係性だけを見るのではなく、もう1段大きな視点で捉えてみると、「もっとも成長する可能性があるのはどこか」が見えてきます。

 この視点はとても大事だと思います。

――なるほど、すごく説得力がある話ですね。

 証券会社の担当者から「この株はおすすめですよ」とか「上場前の株が買えます。8割、9割の確率で儲かりますよ。買いませんか?」などの営業電話がかかってくることがあります。

 それを「買うか」「買わないか」は自分の判断ですが、そういうときこそ1段視点を上げて欲しいんです。

「なぜ、この人はわざわざ電話をかけてまで、自分に営業してくるのだろう」と。

 すると、その背景がシンプルに見えてきます。証券会社の営業担当者が「売りたい」「売りたい」と言うのには、原則として「市場で余っている」「売れ残り」「手数料収入が高い」という可能性が高いわけです。

 売れなくて困っているか、手数料を稼ぎたいから、わざわざ時間と手間をかけてまで、営業電話をかけてくる。

株価の上下には
一喜一憂しなくていい

――そう考えると、証券会社からオススメされる株は買わないほうがいいってことですか?

 基本的にはそうだと私は思っています。

――恐ろしいですね。

 私の主宰しているixi(イクシィ)という投資コミュニティにも、証券会社に35年勤めた人がいましたが、飲みの席で「ぶっちゃけちゃうと、どんな証券マンだって、どの株が上がるかなんてわからないよ」と言っていましたから(笑)

――でも、多くの人はそれを信頼して、売り買いしているということですよね。

 本当にそうなんです。もちろん、そこは個人の判断ですが、株で儲かる人ほど俯瞰して、客観的に見る目を持っているものです。

 証券会社の人を「株の専門家」として信頼する人はたくさんいますが、彼らは「手数料ビジネスの専門家」です。

 もちろん、顧客に損ばかりさせていたら、手数料ビジネスも続けられないので、「顧客に儲けてもらいたい」という思いはあると思います。

 でも、それは競輪・競馬や宝くじの胴元と同じで、究極的には「当たりを見つける専門家」でも「顧客を儲けさせる専門家」でもなく、投資する人と金額を増やして、ある一定の手数料を得ることで利益を上げる専門家なのです。

 それがいけないという意味ではなく、そういうしくみになっていることを俯瞰する視点が欠かせないと、私は思っています。

――そのほかにも「儲かる人」「損する人」を分けるポイントはありますか?

 株価の上下だけに一喜一憂しない。これも大事な「分かれ目」だと思います。

 たとえば、持っている株が下がったら、それを「売ろうか」「持ち続けようか」迷いますよね。

 よくあるパターンは「今、売ったら損をしちゃうから、持ち続けよう」「そのうち、また値上がりするだろう」とか、そういう話です。

 でも、それは株価の「上がった」「下がった」だけを見て投資をしている状態ですよね。

『10万円から始める! 小型株集中投資で1億円【実践バイブル】』でも語っていますし、この連載記事でも何度か言っているのですが、「成長すると思われる会社」「本当に応援できる会社」を見つけて、そこに投資することこそ、投資の本質だと思っています。

 つまり、株価が上がったか下がったかどうかより、その会社が「この先も成長する見込みがあるのか」あるいは「本当に応援する価値があるのか」ということが重要なんです。それこそが「株を買う」とか「持ち続ける」理由です。

 株価の上下ではなく、こうした明確な考え方やビジョンを持っていることが、結局は株で儲かることにつながっていると私は考えます。