頑張ることはしないどころか「禁止」のワケ

土屋 ノルマや期限があると、無理やり頑張って達成する人が出てきます。これは大きな問題です。
特別できる人や異常に頑張った人しかノルマを達成できないような仕事のやり方では、そもそも他の人に引き継げないからです。
仕事のやり方を変えない限り、問題は先送りされるだけ。ですから、ワークマンでは「頑張らない」「頑張ってできても意味がない」と考えています。

楠木 これも重要な規律になっていますね。誰にでもできる仕事に標準化するからこそ、20年、30年勝ち続ける経営ができる。

土屋 それにはまず、絶対に勝てるポジション取りをすることが重要で、次に誰がやっても売上が伸び続けるしくみが重要になると考えています。
凡人による凡人の経営をしないと、100年の競争優位は築けないと思っています。

楠木 結局のところ、日々の商売を動かしているのは「普通の人々」ですからね。

土屋 社員全員が経営に参画するしくみもつくりました。
エクセルを使って草の根で意思決定します。それが強みです。
その社員も1人ひとりが突出しなくていい。突出しすぎた人の仕事は、引き継ぎができませんから。突出した人はいらない。頑張ることは会社にとって望ましくない。