リアルな対面なしでも内定を出した企業が多数

 第2の変化が、オンライン活用の浸透だ。

 これまでの就活市場では、連絡やES(エントリーシート)の提出といった一部でオンラインが利用されていたが、採用選考全体の中では補助的な位置づけだった。

 2020年も、本来、3月1日以降に採用広報が解禁され、合同説明会などのさまざまな就職イベントが行われ、実質的な採用選考もスタートするはずだった。ところが、そこに新型コロナの感染拡大が直撃し、就職イベントは軒並み延期や中止となって、オンラインへと移行した。

 DHRの調査によれば、「最終面接前までウェブ面接、最終面接のみ対面」としたのが大手・中堅では43.6%、「すべてWEB面接」が同34.6%となり、合計で約8割がオンライン化に踏み切った。ややIT対応が遅れていると言われる中小企業でも、「最終面接のみ対面」が36.3%、「すべてWEB面接」が17.3%となり、合計で半数を超える。

 当初、オンライン化については、「相手の表情がよく分からない」「途中で通信が切れることがある」といった戸惑いの声もあったが、学生側からは「移動コストがかからない」「時間の制約が少ない」「授業と両立しやすい」「地方在住でも大都市圏の企業に接触しやすい」といったメリットが認識されるようになった。企業側も、移動や会場準備などの人事担当者の負担が軽減され、また、地方の学生にアプローチしやすく、採用の母集団形成にプラスに働いたとする声が多い。

 スタートはやむを得ずだったが、やってみると意外に肯定的な受け止めが多く、21年度(22年卒)以降も“オンラインがメインで、対面が補助”というスタイルが定着するだろう。一部の企業はコロナ禍でも従業員を出社させ、採用活動も対面のみで行ったケースが見られたが、コロナ禍でのこうした対応については、“ブラック”な印象を持つ学生もいることを留意しておきたい。

>>新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(2)に続く(2020年12月23日公開予定)