何もないからこそ挑戦できる

川原:「みんな借りようぜ! 人生一発逆転を狙え!」というキャッチフレーズに変えるだけでも、かなりイメージは変わるでしょうね。

中野:返せなくなった時の救済措置さえ考えていけば成り立つはずです。こういう社会改革を担えるのは、やはり若い世代です。現職のリーダーたちはできていません。現実を知る世代が一つひとつ、ギャップを埋めていくことで、社会は前進すると思います。

川原:若者には現実の課題が身近にあるし、何も持っていないからこそチャレンジもできる。やっぱり「何者でもない」は強みなのですね。

中野:守るものが増えると弱くなってしまいます。身軽が一番。だから僕は家も賃貸だし、クルマも高級時計も持ちません。何も持たないと、新しいものを常に吸収できるんです。

 僕はこれまでずっと台湾と日本を行き来していて、新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけで50数年ぶりに200日以上連続で日本に滞在しています。東京の地下鉄の乗り換えもバッチリできるようになりました。

 身軽になる手始めとしてクルマを手放すのはオススメですね。運動量が増えて、足腰も強くなりますし。次に家の引っ越し。子どもが巣立ったら、60平米以下の賃貸マンションで十分です。老後資金も貯め込み過ぎないこと。5000万円を超えた分は、全部寄付すればいいんですよ。

クルマ、家、貯金は不要! 人は手放せばもっと成長できるPhoto by 竹井俊晴

川原:お金は動かさなければ意味がありません。どんどん循環させて未来のために使う提案に僕も大賛成です。

中野:自分さえよければいいという考えではダメです。個人も企業も守りに入ってはいけません。

川原:そうやって循環型の社会をつくりながら、僕は、世界の中の日本の存在感を高めていきたいと思っています。僕が得意なのは、人やモノや場の価値を見つけて売り出していくこと。だからこれからも日本から世界へのプロデュースをどんどんやっていきたいと思っています。

中野:応援しています。オンラインの仮想空間の中で国境や世代を超えてつながれるネットワークも増えてきたことですし、仲間もどんどんできるでしょう。

川原:中野さんのような先輩方の力も借りて、未来を好転させる輪をつくっていきます。

クルマ、家、貯金は不要! 人は手放せばもっと成長できるPhoto by 竹井俊晴