緊急避妊薬が市販化されることによってもたらされるメリットは、それだけにとどまらない。

「緊急避妊薬が市販化されている諸外国では1000~2500円程度で買えるところが多く、中には未成年に無料で提供している国もあります。しかし日本では、緊急避妊薬の値段は各病院が任意で定めており、1回の服用で大体1万5千円から8000円と高価です。現在、緊急避妊薬は保険診療の対象外であり全額自己負担となっていますが、薬局での販売が実現すれば、価格が大幅に下がることも期待できるかもしれません」

反対派が懸念する
市販化による性の乱れ

 緊急避妊薬は現在世界の90カ国以上で市販化されており、日本でもしばしば厚生労働省によって検討され、直近では2017年に議題に上るも否決された過去がある。一体どんな要因によって、日本における緊急避妊薬の市販化は妨げられてきたのだろうか。重見氏はこう語る。

「決定を下す役割を担う専門家の方々の判断を鈍らせている理由として、市販化されることによって薬が悪用されるリスクと、女性が性に対して奔放になってしまうといったことへの懸念が挙げられています。2017年の検討会では産婦人科の学会である『日本産婦人科医会』もそのような意見に賛同し、『別の避妊方法に頼るべきだ』という理由で市販化に賛成する意見を退けています」

「モラルの乱れを誘発するのではないか」という懸念によって実現が阻まれてきた、緊急避妊薬の市販化。しかし、その懸念は妥当なものなのだろうか。

 2017年に複数回にわたって行われた検討会のメンバーは一部を除いてほとんどが男性であり、女性の意見がほとんど反映されていない。また年齢層も高く、40代~60代が大多数だ。上記の懸念は男性による“妄想”とまでは言わないが、仮に検討会のメンバーの男女比を逆転させた上で同じ議論を行ったとしたら、違う結論になっていた可能性は否定できないだろう。