メディアには「女のカラダ」に関する都市伝説があふれています。
「あたためは生理痛にも妊活にも効く」「仕事をしすぎるとオス化する」「恋愛やセックスをしていないと女性ホルモンが枯渇する」……。これらはどれも、医学的には根拠のない情報。でも、それに振り回されて、不調のスパイラルに陥ったり、落ち込んだりする女性は少なくありません。
「女体」についての第一人者、産婦人科医の宋美玄先生が、いまの医学でわかっている「ほんとうのこと」だけをベースに20代~40代女性の、身体や性の悩みに答えた新刊「医者が教える女体大全」の中から、一部を抜粋して紹介いたします。

使わないのはもったいない!こんなに進んでいた最新鋭生理用品Photo: Adobe Stock

女性医師も愛用する「月経カップ」は快適!

 日本製の生理用紙ナプキンはとてもよくできています。海外のナプキンを使ってみたら分厚くてゴワゴワ、おまけに吸収力が物足りず不快で不安だった……という話をよく聞きます。紙ナプキンが優秀なだけに、日本ではドラッグストアの生理用品売り場をのぞけば9割以上は紙ナプキン。タンポンですら、かなり影が薄いです。

 けれどそんな日本でも、「自分に合うものがない」と悩んでいる人たちはいます。デリケートゾーンがかぶれる、経血量が多いときは漏れが気になる、そして経血がドロッと出るときの感覚がたまらなくイヤ……。そんな悩みを抱える女性に私が強くお勧めしたいのが、腟に入れて使う生理用品「月経カップ」です。

 ソフトなシリコン素材でできたカップは、底にあたる部分からシッポのような突起が伸びています。カップを指でつぶして小さくして腟口から挿し込むと、腟内でカップの口が開き、子宮から出てくる経血を受け止めます。基本は性交経験がある人向けですが、それでも軽い痛みや異物感はあるでしょう。でも、じきに慣れます。

 腟内にぴったりフィットしているので、経血はまったくといっていいほど漏れてきません。昼動きまわっても夜寝ていても気にならないうえに、ナプキン特有の蒸れやかぶれとも無縁なので、生理であることを忘れるほどです。

 私も月経カップを愛用しましたし、周囲の女性医師にも勧めました。女性医師はピルやミレーナで生理を止めている人が多いのですが、妊娠希望や授乳中、あるいは体質が合わないという理由で服用できないこともあります。月経カップを使った人たちの反応は「こんなに快適な生理用品があったとは! 患者さんにも勧めたい」とのこと。

 また、自分で経血を確認できるのも利点です。私もナプキンのときは大量に出ていると感じていたのに、経血量は思ったよりずっと少なくて拍子抜けしました。自分の身体を知ることができるのも、月経カップならではです。

下着のようなはき心地で経血を逃さない「経血吸収パンツ」

「経血吸収パンツ」も、最近注目の生理用品です。たとえば「医者が教える女体大全」でも紹介している「ムーンパンツ」はそのひとつですが、パンツ自体が15~20mlの経血を吸収し、ナプキンはまったく不要。特殊素材を4枚重ねているので、表面はサラサラ、それでいて経血を逃さず、はき心地も普通の下着と同じというから驚きです。

 月経カップ、経血吸収パンツともに洗えば何度でも使用できるのも、大きなメリットです。コストパフォーマンスが高いだけでなく、ゴミも出さないのでエコロジカルです。紙ナプキン派の人も災害に遭ったときのため防災グッズに加えておくことをお勧めします。物資が不足しているときに生理になると大変です。いざという場面になって初めて使うのはストレスになりますから、何度か練習しておくと、なおいいですね。さらに、「デリケートゾーン用ウェットティッシュ」も加えておきましょう。生理中に入浴できないのはつらいですよね。そんな状況下で必ず役に立ちます。

 生理用品の選択肢には「布ナプキン」もあります。コットンの布地を何枚か重ねて縫い合わせ、デリケートゾーンにあてがうものです。洗濯して、くり返し使えます。

「紙ナプキンは有害物質が身体に入る」「布ナプキンにすれば、生理痛が治まったり、経血の量が減る」という人がいますが、これはまったくのデマです。身体の外に当てるだけの布に、そんな力はありません。布ナプキンのメリットは下着と同じ感覚で身につけられるので、敏感肌の人でも安心なこと。それで十分ではないでしょうか。上手なつき合い方をしてください。