たとえば、誰もが知る企業の名前を出す。大企業とも取引しているのなら、「じつは○○社さんとも、こういう案件でお付き合いがあるんですよ」などと名前を出すだけでも効果的です(もちろん、機密保持規約に触れない程度に)。

 直接の取引はなくても、本やビジネス誌の記事で読んだ大企業の事例が、「権威」として使える場合もあります。

「○○社は、これで成功した」、あるいは「△△社は、これで失敗した」などと事例を挙げつつ、「だからこそ御社には、今、こういうものが必要だと思うのです」と持っていくのも、立派な「権威」カードなのです。

 そんなに都合のいい事例が見つかるかと思ったかもしれませんが、ちょっと意識して探してみれば、成功談にせよ失敗談にせよ、企業の分析本や分析記事には事欠きません。

 帝国データバンクといった調査会社が、さまざまな企業の倒産劇をまとめたものなど、読み物としておもしろいものも数多くあります。日ごろからアンテナを張って、情報をストックしておくといいでしょう。

権威カードを
「相手の手柄」にしてあげる

 ほかには、大学の研究論文なども、もちろん「権威」です。

「そういえば、○○大学が行ったある研究では、こんな結果が出ているそうです」という話を隠し持っておくのも、最後のひと押しの際に役立ちます。

 こうした「権威カード」を切る際には、1つ、ちょっとしたコツがあります。

 それは、権威カードを「相手の手柄」にしてあげる、ということです。

 どうすればいいのかというと、「この話は、いい説得材料になると思います」というひと言を添えるだけです。

 上司など決裁者に話す際には、誰でも「自分の話を補強する材料が欲しい」と思っているものでしょう。

 そこで、社内での説得にも同じ権威カードを切ってもらえるように、うまく相手を誘導してあげる。「この話は、いい説得材料になると思います」というのは、そのためのひと言です。また、相手が活用しやすいように、論文や研究成果を伝える記事などをそっと手渡すのも効果的です。

 ここまですることで、担当者が決裁者を説得しやすくなり、「最終的な合意」に至りやすくなるのです。