憲法や国際法を超越する
韓国の国民情緒法

 韓国の司法界には、日韓関係において適用される「国民情緒法」があり、それは憲法や国際法を超越するものだということがよく言われている。

 韓国国民には元慰安婦が気の毒だとの思いがあるだろうが、国際法に則り、かつ過去の慰安婦問題に関する日韓政府のやり取りを客観的に見つめ、法的に公平な判決を出すのが韓国の裁判所の役割のはずである。

 韓国の裁判官は日韓間の訴訟においては、常に国民世論を意識する傾向にある。その時、韓国政府が、日本政府の主権免除を主張していれば、裁判官は国民世論や元慰安婦関連団体の圧力に屈することなく、公正な判決を出しえたのではないか。

現実を無視した
韓国裁判所の判決

 原告はソウル郊外の元慰安婦施設「ナヌムの家」で暮らす李玉善(イ・オクソン)さんらであり(当初の12名から、存命の元慰安婦は5人)、訴訟理由は「元慰安婦に対する反人道的な犯罪行為は主権免除の例外とすべき」というものである。

 2013年8月、日本政府に損害賠償を求める調停を地裁に申請したが、その後16年1月に正式訴訟に踏み切り、地裁は20年1月に、書類を受け取ったとみなす「公示送達」の手続きを取っていた。

 裁判所は判決の中で「この事件の行為は合法的とは見なし難く、計画的、組織的に行われた反人道的行為で、国際強行規範に違反した」とし「特別な制限がない限り『国家免除』は適用されない」と主張した。また、「1965年の日韓請求権協定や2015年の慰安婦合意を見ると、この事件の損害賠償請求権が含まれているとは見なし難い」「請求権の消滅はないと見る」と述べた。

 一方、前述の会見で加藤長官は、「1965年の日韓請求権協定で『完全かつ最終的に解決済み』」であり、「2015年の日韓合意で最終的かつ不可逆的な解決が日韓両政府の間で確認されている」と説明した。