「コロナ禍のテレワークはまだ続きそうですし、たとえコロナが終息しても、テレワーク文化は消えないでしょう。仕事しにくい環境で無理をするなら、思い切って引っ越すのも手かもしれません」(小野氏)

 この考えから、地方に住まいを移す人も増えている。都内の家賃を考えれば、普段は地方でテレワーク、週1回東京で宿泊というスタイルの方が低コストになるケースさえあるのだ。

 また、熊谷氏は「オフィスのあり方も変わっていくのではないか」という。

「オフィスの変遷を改めて調べると、今のようないわゆる“オフィスビル”が一般化したのは、つい100年ほど前です。一箇所のオフィスに集まる働き方は、高度経済成長期に発展したもの。大量生産で利益を伸ばすという、この時代特有のスタイルだったかもしれません。であれば、今後は100年前の形に戻っていく可能性もあります」(熊谷氏)

テレワークあるある「その3」
上司とのコミュニケーション問題

 テレワーク最大の悩みとして聞かれるのは「コミュニケーション」だ。オフィスでの雑談がなくなると、息抜きが難しく、孤独感も強まる。何より、社員の育成は難しくなるだろう。これこそ「テレワーク最大の課題」かもしれない。

「テレワーク前から1on1ミーティングを取り入れていた企業は、それをオンラインに移すことで補っていますね。そのような仕組みのない会社の場合には、対策の一つとして、あえて雑談の場を作ることが挙げられます。オンライン会議の後、5~10分は仕事に関係ない話をする時間を設ける。あるいは、オンラインの朝礼を雑談の場にするなど、会社としてのコミュニケーションルール作りも大きな課題です」(大谷氏)

 そのほか、通話可能なチャットアプリを使い、仕事中は社員同士で通話をつなぎっ放しにしている組織もあったとのこと。とはいえ「リアルの雑談に勝るものはなく、今後もコミュニケーションの課題は残っていくのでは」と小野氏は指摘する。

 なお、テレワークになり「上司への報告義務が厳しくなった」という不満も聞かれる。逆に上司も、部下の管理に困っているようで「テレワークのセミナーで『部下の働く姿が見えなくて不安』と漏らす人も多い」と熊谷氏は話す。

「40~50代の方は、目の前で働く部下を見ながら、態度や頑張りという言語化されないもので評価する時代を生きてきました。テレワークは部下の“姿”が見えないので不安が募るのも無理はないでしょう。しかし、そういった従来のマネジメントを変えなければなりません」(熊谷氏)

 具体的には、態度や頑張りへの評価から「何をやったか」というタスク型の評価に変える。勤務時間の考え方も「何時から何時まで働いたかではなく、その期間に何を作ったか(達成したか)を見ないといけない」という。働く時間を基準にすると、テレワークでは1時間おきに部下に報告義務を課すなど、監視のような状況に陥りかねない。それは「社員のモチベーションを下げる」と続ける。