しかし、桁を跨ぐ「跨座式」や、桁からぶら下がる「懸垂式」、鉄製のレール上を走る「ロッキード式」など技術規格が乱立した上、それぞれがライセンスに保護されているため競争入札ができず、コストダウンが進まなかったこと、また緊急時の避難が困難なことから、主流とはならなかった。

 そこで基本仕様を統一し、システムを標準化することでコストダウンを図ったのが新交通システムである。一般的なモノレールと同様、ゴムタイヤにより走行するため急勾配を上ることができ、車体が小さいため急曲線にも対応できる。線路や車両の規格を統一し、さまざまな企業の参入を促すことでイニシャルコストの削減が期待できる。またホームドアを完備することで、列車の運転や駅業務の無人化を図り、ランニングコストの削減も図った。

シンガポールやマカオで開業
活躍の舞台は世界へ

 1983年、既に開業していたポートライナーなどを参考に標準規格が制定されると、1989年に横浜市で「金沢シーサイドライン」、1990年に神戸市で「六甲ライナー」、1994年に広島市で「アストラムライン」、1995年に「ゆりかもめ」、2008年に「日暮里・舎人ライナー」が開業している。

 しかし結論から言えば、新交通システムも当初の想定よりも割高な交通機関になってしまった。建設費は1キロあたり約150億円で、これはモノレールとほとんど変わらない。標準規格が制定される以前に、独自規格で開業した路線も多く、機器の共通化が思うように進まなかったからだ。

 その後、2000年代に入ると路面電車の再評価が進み、新交通システムへの期待はしぼんだように思えた。しかし、人や自動車と路面を共用する路面電車には、どうしても限界があり、立体交差化された都市高速鉄道としての新交通システムに価値がなくなったわけではない。必要なのは適材適所だ。

 新たな新交通システム建設に向けた動きも始まっている。横浜市は2027年に旧上瀬谷通信施設(米軍施設跡地)で開催予定の国際園芸博覧会(花博)にあわせて、相模鉄道本線瀬谷駅から会場まで約2.6キロの「(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」を計画している。将来的にはJR横浜線十日市場駅や長津田駅への延伸構想もあるようだ。

 三菱重工は新交通システムの海外輸出も手掛けており、2003年から2005年にかけてシンガポールで2路線を開業した他、2019年12月にはマカオでも1路線を開業した。さらに従来の2倍の時速120キロで走行可能な「高速新交通システム」を開発し、東南アジアをはじめとする新興国での受注獲得を狙っており、新交通システムの活躍の舞台は一気に海外へと広がっていきそうだ。