出願者数を増やした桜蔭とフェリス

 ここからは女子受験生の難関校を見ていこう。いずれも出願を締め切っているが、東京女子御三家は女子学院9%減、雙葉8%減に対して桜蔭は5%増となった。実倍率がそれぞれ2.7倍、3.7倍、1.8倍と桜蔭が頭一つ低かったことも背景にはありそうだ。横浜女子御三家では、横浜雙葉5%減、横浜共立学園3%減に対してフェリス女学院は7%増となった。こちらも実倍率は1.5倍、1.8倍、2.0倍と、東京と比べて格段に低かった。2021年も少数激戦の様相である。

 人気の洗足学園は、実倍率3.7倍を敬遠されたのか、現状では1割強の減少傾向である。それでも3倍以上は維持しそうで、神奈川一の人気女子校の地位は揺るがない。

 女子人気が強い東京の共学校では、渋渋が前年比微増の勢いで、実倍率3.0倍を確保しそうである。実倍率5.4倍だった広尾学園(本科1回)も微増傾向で推移しており、2021年開校の姉妹校である広尾学園小石川との併願機会も増えて、広尾学園にどうしてもという需要に応えている。3日の慶應義塾中等部は実倍率6.1倍と高かったが、青山学院が2日に戻ったこともあってか、予想倍率6.9倍とさらに厳しい競い合いとなりそうだ。

 女子校では鷗友学園女子が絶好調で、締め切り10日前に前年比1割増であり、どこまで上積みするのか注目される。実倍率2.0倍に対して予想倍率は2.5倍となっている。5日の入試をやめ1日と2日の2回に変更した吉祥女子は、第一志望の受験生を取りたいところだが、募集人員を20人増やした1日の出願状況は微増傾向で進んでいる。

 頌栄女子学院は1日こそ微減傾向だが、吉祥女子が抜けた5日の2回は現状では大幅増の勢いで、話題の入試となりそうだ。実倍率2.5倍の立教女学院は出願を締め切り、3%減にとどめた。実倍率2.7倍、予想倍率2.3倍の東洋英和女学院も1割強減少の見込みだ。

 1日午後に1回目を実施する神奈川大学附属は、実倍率男子1.9倍、女子2.2倍と低めでありながら、男女共に2割ほど減少気味だ。しかし、2日の2回はそれを補って余りある勢いで出願者を集めており、締め切り2週間前には前年実績を確保したほどである。

 2日には、前年並みを維持しそうな豊島岡女子学園、慶應義塾湘南藤沢、昨年の3日から戻った青山学院がAランクに並んでいる。実倍率5.4倍が上振れしそうな勢いで、青山学院への女子の気持ちは揺らがない。Bランクでは白百合学園が1割ほど減らしそうで、実倍率2.8倍が予想倍率は2.5倍となっている。明治大学付属明治は実倍率3.5倍だったものの、弱含みである。

 後編では、東京と神奈川の上位校と中堅・中位校について見ていこう。

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