五輪シンボルマークと国立競技場
五輪開催の現実的な落としどころは、無観客または規模縮小での開催だろう。しかし、それでうまくいくだろうか(写真はイメージです) Photo:Diamond

漫画『AKIRA』の不吉な描写
東京五輪は無観客か規模縮小で開催?

「五輪中止」の世論が高まっている。

 NHKが今月9日から行った世論調査では、「開催すべき」という回答は16%で、「中止すべき」「延期すべき」という回答は合わせておよそ80%となっている。また英タイムズが、「連立与党幹部が『日本政府内でも開催が難しいという意見で一致している』と述べた」と報じたことも、こうした傾向に拍車をかけている。

 ちなみに英タイムズ報道は、個人的にはかなり信憑性が高いとみている。実は、年明けから「五輪後」と言われる総選挙の当落予測が出始めており、軒並み与党に厳しい結果が出ているからだ。

 GoToゴリ押しや最近の医師会優遇策からもわかるように、基本、日本の政策は「選挙に勝てるか」という視点が重視される。五輪強行で支持率がさらに下がれば、多くの与党議員が「失業」してしまう。これを是が非でも避けたい与党内勢力が、「中止」を外堀から埋めていくために海外メディアにリークする、というのは自明の理だ。

 このような五輪をめぐる情報戦が水面下で繰り広げられる中、現実的な落としどころではないかと言われているのが、「無観客または規模縮小開催」である。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算では、五輪を中止した場合の経済的損失は約3兆4624億円だが、無観客開催は約2兆4133億円と、金銭的被害を少なく抑えられるからだ。

 確かに、まったくの「中止」にしてしまうと、コロナでイベント業界の人たちが大打撃を受けたように、多種多様な業界への悪影響は必至だ。「無観客または規模縮小」は、コロナ対策をしながらGoToを進めるような、「コロナと経済活動の両立」を目指す菅政権が流されやすそうな「折衷案」である。

 ただ、個人的にはこの「無観客または規模縮小開催」には嫌な予感しかない。昨年、コロナの流行や五輪延期を「予言」したとして大きな話題になった漫画『AKIRA』の中に、不吉な描写があるからだ。

 それはズバリ、「時の権力者がガラガラのオリンピックスタジアムで、国民強制参加のイベントを強行すると、コロナに直撃されて東京が壊滅的な被害を受ける」ともとれる描写なのである。