新聞社のウェブサイトは、時事問題に関する情報を集めるには、最適のサイトだ。新聞社のウェブサイトは、日本のインターネット・サイトの中で最も充実していると言えるだろう。アクセス数も、検索エンジンと並んで最も多い。若い世代では、紙の新聞を購読せずにインターネット上の新聞だけを見ている人が多くなってきた。

 また、長期の海外旅行や海外に滞在する場合には、非常に便利だ。私は、1960年代の末に留学生としてアメリカにいたが、最初は日本のニュースからまったく隔絶されていた。当時のアメリカのテレビには、日本のニュースはほとんど現れない。

 ある日、全共闘の安田講堂籠城事件が突如としてテレビの画面に現れ、仰天した(背景をまったく知らなかったからである)。70年代の初めには日本の新聞を船便で送ってもらったが、まとまって届くため日付順に読むことができず、頭が混乱した。当時と比べると、現在の状況は夢のようだ(現時点で振り返れば、わずか30数年前のことが石器時代のようである)。

 いま、各新聞社のサイトで、当日の記事の大部分は無料で読める。かなり頻繁に更新されており、大きな事件が発生すると、数分おきに更新されることもある。テレビではニュース番組の時間まで待つ必要があるが、インターネットの新聞は随時見ることができるので、テレビよりも早くニュースを得られる場合が多い。

主な新聞社ウェブのサイト

【朝日新聞 asahi.com】

「社会」「ビジネス」「暮らし」などの大ジャンル別に記事が掲載されている。各ジャンルの中も適切に分類されていて、全体として使いやすい構造になっている。「ビジネス」の「株式」の項にある日米株価グラフは、株価の推移を把握するのに便利だ。

 サイト内検索機能も充実している(サイト内のほかに、ウェブ検索、地図機能、辞書機能なども可能)。これを使えば、必要な情報を簡単に探し出すことができる。ヒットした記事に関連する記事も示されているので、便利だ。ただし、一定期間が過ぎた過去の記事は削除されてしまい、読めなくなってしまう(これは、日本の新聞についてほぼ共通する問題である。これについては後で再び触れる)。

 英文ページの記事は、英語の勉強にも活用可能だ。時事英語を読む練習だけでなく、書く練習にも使える。自分の専門に近い記事を見つけて、まず自分で英訳し、それを掲載されている英語と比較するとよい。

【日本経済新聞社 NIKKEI NET】

 とくに経済関係で充実した情報が得られる。「経済」の中の「統計データ」には、GDP(国内総生産)、物価、金融関係などのデータがコンサイスな形で掲載されている。「景気ウオッチ」には、それらのデータに関する新聞記事やコラム記事がある。とくに後者は、経済動向に関する専門家の意見を見るのに有用だ。「Biz Plus」(経営関係)、「IT-PLUS」(IT関係)などにも有用な情報が多い。