自分の候補者を他の人が開拓した企業にマッチングしたり、セミナーやウェブコンテンツでマーケティングを行ったりと、仕事の内容も複雑になってきています。いろいろな工夫を行ってビジネスを進化させていくには一人数役を担うと同時に、周囲と関わりながら進めることが多くなっていきます。

 重要なポジションになればなるほどこうした関わりは増え、コミュニケーションが必要になります。中途や即戦力採用でもオンボーディングが必要なのはこのためで、リモートワークが当たり前になり従来のコミュニケーションができなくなるなかで、いかに工夫してコミュニケーションを充実させるかを、企業は考えていかねばなりません。

リモートワーク下では
「俺流社員」が生まれやすい?

 このような潮流のなかで扱いに困るのが、勝手に自分一人で考えて行動してしまう、“俺流”で仕事をする人です。オフィスで一緒に仕事をしているときは「それをやってはまずい」ということは誰かが気付き、問題が発生する前にストップをかけることができますが、リモートワークでは誰も止めることができず、問題が生じてから皆の知るところとなってしまうからです。

 とくに転職して間もない時期は、周囲のコンセンサスを得ながら仕事を進めていくことが大切です。たとえば何らかの企画立案を任されたとき、どんな目的、コンセプトでどのような人たちを対象にするのかといったポイントについてコンセンサスを得ながら進めていかないと、後で重大なズレが生じてしまい、問題にもなりかねません。できるだけコミュニケーションに手間ひまをかける必要があります。

 勝手に自分一人で考えて俺流の仕事をしてしまう危険性があるのは、もともとそういう行動様式を持つ人だけではありません。周囲に質問や相談をする相手がいない、あるいは聞くことに気後れしてしまうため結果としてそうなってしまう人もいるのです。

 みんなオフィスにいれば周囲の様子もわかるので、聞きたい時に先輩や上司に質問をしやすいですが、リモートワークでは聞くタイミングがわからず、「自分一人で何とかしよう」という力が自然と働きがちです。いずれにせよ、重要なのは周囲と必要なコミュニケーションを行いチューニングしながら業務を遂行することです。

 そこで当社の場合、新人を採用すると「とにかく遠慮せず、周りに聞きまくってください」と指導しています。即戦力として採用した人材でも同様です。また、新人には必ずメンターを1人つけて、「何でもこの人に聞いて下さい。同じことを聞いても構いません」としています。

 加えて、当社は今リモートワークを実施中ですが、新人には最初の3カ月は出社してもらうとともに、既存社員にもローテーションで出社してもらい、いろいろな先輩たちとコミュニケーションができる体制を作りました。

 完全在宅勤務となっている会社もあるので、新人教育のために出社することが難しい組織もあるでしょうが、とにかく肝心なのは聞きまくることを推奨し、メンターまではいかなくても、育成担当として何でも気軽に聞いてよい人を配置することです。

 育成担当者には負担がかかりますが、オンボーディングの重要性と育成への期待を事前にしっかり説明すればよいでしょう。この時、組織上のマネジャーに育成担当も任せると業務量がパンクしてしまう場合があるので注意が必要です。