電力自由化の崩壊
2016年4月に始まった電力小売り全面自由化は「崩壊」しつつある Photo:yangphoto/gettyimages

日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が高騰し、JEPXから電力を仕入れる電力会社が瀕死(ひんし)の状態にある。経済産業省はそんな電力会社を救済する策を打ち出したが、電力小売り全面自由化は「崩壊」しつつある。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

新電力56社が助けを求めて
経産省に駆け込んだ!

 2016年4月に始まった電力小売り全面自由化に参入した「新電力」56社が1月18日、梶山弘志経済産業大臣宛てに要望書を提出した。再生可能エネルギーの普及を掲げるLooopやみんな電力、自然電力など中堅から小規模の新電力が名を連ねた。

 Looopやみんな電力など多くの新電力は、顧客に販売する電力を日本卸電力取引所(JEPX)から仕入れている。JEPXの平均スポット価格(24時間)は、昨年12月中旬から1カ月間で10倍近くに跳ね上がった。この間、JEPXから電力を仕入れる新電力は、完全な逆ざやでキャッシュ流出が止まらず瀕死の状態にある。

 つまるところ、瀕死に追い込まれた新電力56社が、経産省に助けを求め要望書を携えて駆け込んだのだ。

 梶山大臣に要望書を提出した新電力56社は「小売り競争環境の維持」としてスポット価格が高騰した状況を改善するために、スポット価格の形成に関する情報を公開すべきだと訴えた。

 スポット価格の形成について、東京電力ホールディングスなどの大手電力会社と新電力には情報の非対称性があり、フェアな競争ではないと言いたいのだ。

 さらに要望書では、大手電力がスポット価格の高騰で得た利益を新電力に還元せよとまで訴えた。大手電力がスポット価格高騰で利益を得たとする新電力の主張については、後述したい。

 経産省に助けを求めた新電力の動きについて、原油トレーディングの経験がある商社関係者は、冷ややかに見ていた。

「新電力は甘えていますね。原油価格が100ドルから20ドルに暴落して大損をこいても、われわれ(商社)が『経営が厳しいから助けてください』って政府に泣きつきますか? 経営が苦しい新電力を政府が助けるなんて、日本の電力自由化は偽物ですよ」

 電力小売り全面自由化は、すでに「崩壊」しているというのだ。