ワクチン接種をした
日本人の声

 先述したように、イスラエルは外国人のワクチン接種を認めているので、筆者の周りのイスラエル在住日本人の中でも徐々に接種を済ませた人が出始めている。心の準備も兼ねて彼らの体験談を聞くことにした(以下、本人のプライバシー保護のために仮名にさせていただいた)。

◎田中さん(30代女性・仮名)の場合

 田中さんはテルアビブ市在住の自営業。接種のきっかけは「コネ」だったという。田中さんは「配偶者の親戚に医師がいて、年齢対象外でしたがかなり早い段階で受けさせてもらいました」と声をひそめる。

 日本人の感覚では、コネは「なんとなく良くないこと」というイメージがあるが、国が変われば「常識」も変わる。公的機関にもコネが効く「柔軟性」もイスラエルの特徴である。

 田中さんは「ごく普通の注射で、強い痛みはありませんでした。1回目より2回目の方が副反応が強いといううわさがあって、確かに、2回目の後の方がめまいが強かった気がします。でも、次の日には治りました」と話す。

 総じて「普通の予防接種」という感想であった。

イスラエルでも
当初は根強かった「ワクチンへの抵抗感」

 今となっては世界の先進事例となっているイスラエルだが、実は、副反応のうわさや、正体不明のワクチンに対する抵抗感は当地でも根強いものがあった。

 昨年末時点で「人口の60%はワクチン接種に後ろ向きだった」という統計データもあった。しかし、先述の通り、ワクチン接種を始めてわずか1カ月で、既に人口の30%が接種を終えている。

 その「成功の秘訣」は一体何か?

「優先接種対象は厳格に守る一方で、口コミでワクチンの廃棄のうわさが広がって、『機会があればすぐに打ちたい』という空気が人々の間で広がっていったような気がします。まさに最近SNSではやりのClubhouse(招待制の音声専用SNSアプリ)のように、アクセスが限られたことで、人々がワクチン接種に注目する動きを意図せず作り出したのかもしれない」と田中さんは分析する。