◎高山さん(30代男性・仮名)の場合

 高山さんは、テルアビブ市内のテクノロジー系の会社に勤める。イスラエル人の同僚が続々とワクチンを接種する中、ワクチンが余っているという情報(前回記事『新型コロナワクチン「不足のはずが余る」意外な理由、イスラエルの例』を参照)について保険会社に問い合わせたところ、「年齢対象外でもアポなしでも問題ないからとりあえず接種しに来い」という返答があったそうだ。

 ワクチン接種には不安がなかった訳ではないが、人口のかなりの割合の人が既に接種を済ませている事実や、ワクチンの有効性に関する前向きな報道発表に触れるうちに、徐々に不安感は消えたという。また、イスラエルがワクチン接種によるコロナからの回復で世界に期待を与える、その大きなムーブメントにイスラエルにいる身として参加したかったという。

 接種所では、簡単な問診(その日の体調や既往症の有無)に回答した後にワクチンを接種。接種が終わったら15分待機するように言われたという。副反応は特になく、筋肉注射特有の腕の痛みが多少あった程度だったそうだ。

 イスラエルのコロナ対策について、高山さんは「イスラエルの危機対応能力は圧巻です。病棟が足りなければ、ホテルを患者収容スペースに作り替える。軍もすぐに出動させます。その柔軟性・臨機応変さは日本も見習うべきです。ただし、その一方で、方針やルールがコロコロ変わります。国際空港の閉鎖が2日前に言い渡されたり、外国人の入国条件も1日単位で変更されたりします。日々ニュースをフォローするのが大変です」とも語った。

緊急事態では
政府と国民の信頼関係が試される

◎中田さん(50代女性・仮名)の場合

 中田さんはエルサレム在住の主婦。イスラエル人の配偶者の家族が接種をする中、対象年齢が「50歳以上」に拡大したタイミングを見計らい、配偶者とワクチン接種に臨んだという。2人の子どもは年齢対象外という理由で、まだワクチンを接種できていない。

「体質的に敏感なので軽い頭痛や腕の痛みはありました。ただ、ニュースによればかなりの割合の人が私と同じ症状を経験したそうなので特に不安はありません」

 中田さんは既に20年以上イスラエルで暮らすが、特に緊急事態では国民と政府の信頼醸成が必要だという。

「イスラエルは宗教的にも民族的にも多様なので、ワクチン接種に対する考え方も多様です。国民の中にはワクチンに対して疑問を持つ人もいますが、政府はワクチン接種の重要性と安全性を丁寧に説明して、国民の納得を得る必要があります。まさに政府と国民の信頼関係が試されていると感じます」