こうして退院できたときには、19歳になっていた。

 しかし、その後もAさんは、入退院を繰り返し、体調は一進一退を繰り返した。この間、自己肯定感の低い状態がずっと続いた。

 21歳の頃からフリースクールに通い、24歳のときに卒業した。

 このように、不登校とひきこもり経験を持つAさんは、いろいろと苦労を重ねながら、職場で働けるようになった。

 そして前述したように、職場の後輩だった妻と知り合い、19年初めごろから交際。すぐに同棲生活を始めて、その年の夏に入籍した。

ニコニコしていると思ったら
「気持ちわりぃんだよ」と豹変

 Aさんが最初に妻の異変に気付いたのは、同棲を始めてからだ。

「友人と食事に行ったとき、相手に気を遣ってあまり妻(当時は恋人)とは話さなかったんです。その帰り道に『何で私と話さなかったんだ』って、何時間も罵られました」

 以来、妻は突然人が変わったようになり、暴力を振るいだしたという。

「兆候はなく、心当たりもありません。ニコニコしていると思ったら、急に『不安になった』『聞いてもいい?』などと言い出すので、『どうしたの?』って質問に答えていると、いきなり『気持ちわりぃんだよ』などと豹変するんです。デートに行ったときには、駅からの帰りに前から通行人が来たので、『ちょっと横にどこうか』と言ってすれ違った後、ワーッと罵倒されたこともありました」

 家の中では、妻が包丁を壁に向かって投げたこともあったし、牛乳パックほどの小さなスピーカーで頭をたたかれたり、素手で殴られたり蹴っ飛ばされたりしてケガしたこともあったという。

 しかし、暴力に遭って警察を呼ぶと、妻は外面が良くなる。人前に出ると、逆に自分の方が被害者であるかのように装うという。