子飼いの元都議の選挙戦に馳せ参じ“密”状態
小池知事が実態を本当に把握していない可能性

「一言で申し上げまして、まず私、今回、土曜日をフルに活用して朝の8時から夜の8時まで、樋口(高顕)さんの応援に入っていました!」――。

 千代田区長選の選挙戦最終日だった1月30日夜、JR飯田橋駅西口前でこう叫んだのは、小池知事その人だ。

 現場で取材したフリージャーナリストの横田一氏によると、小池知事が屋根の上で演説した「新型コロナ対策に全力!」と書かれた選挙カーの周囲に人だかりができ、小池氏が嫌う“密状態”になっていた(下写真)。

「新型コロナ対策に全力!」の選挙カーの周りに人だかり、小池知事は熱弁「新型コロナ対策に全力!」の選挙カーの周りに人だかり、小池知事は熱弁 Photo by Hajime Yokota

 小池知事は2月5日の記者会見で、自身が実質的に率いる都議会会派「都民ファーストの会」の都議だった樋口氏の応援に入った理由を「樋口さんはもう、大学生のころから我が事務所の方にインターンとして来ていて、20年の付き合いであります」と説明し、「お集まりいただいた方には、密にならないようにと徹底してお願いをした」と述べたが、横田氏は「小池知事の説明は嘘八百だ」と反論する。

 なお、小池知事が子飼いである樋口氏の応援に駆け付けたのはこの日だけではない。小池知事が入院先の確保のため、政府や医療界を相手に、得意の駆け引きやパフォーマンスを駆使して大車輪の活躍を見せた後の選挙応援ならまだよかったかもしれないが、そうした動きはついぞなかった。

 それどころか、「小池知事には、福祉保健局長などを歴任した梶原洋副知事ら都幹部から正確な情報が伝わっておらず、庁内の機能不全ぶりを本当に把握していないようだ」(都関係者)。本当に把握していないとすれば、それ自体が極めて深刻な問題だ。

 感染力が強いとされる変異株のウイルスは都内でも見つかっている。ワクチン接種が遅れれば、今後さらなる感染の波が訪れる恐れがある。小池知事には都民に自粛を求めるだけでなく、医療提供体制の拡充に今からでも大ナタを振るってほしいというのが、都民の切なる願いなのではないか。