トランプ大統領が2年前に野外演習の中止を命じたことで、米韓両国は机上のデジタル演習へと移行した。このため米韓兵士は北朝鮮との激しい衝突に備えた実働演習を実施していない。韓国軍は1年半の徴兵制度で入隊する兵士で主に構成されており、米軍の韓国駐留期間も1年程度である。したがって1年中止するだけで実戦能力は落ちる。

 前回野外演習を実施したのは2018年の春であり、その際には数万人の兵士が参加、多くの戦車が投入され、海兵隊による上陸演習も行われた。一方、室内での机上演習の参加者は数千人程度である。

 その間も指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」の机上演習は行われているが、期間や内容を縮小しており、特に昨年はコロナの影響で、夜間訓練などが省略され、参加者数や内容は例年の半分程度だったようだ。18年以来実戦演習を行っていないことについて、米軍内には懸念が広がっているはずである。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、韓国軍の退役空軍大将のオ・ヨングン氏は「即応体制が確実に失われる」と警鐘を鳴らしている。米韓両軍は演習を行うことにより、足並みをそろえ、統一の指揮系統の下で動くことに慣れることができるという。

 米陸軍系シンクタンクの戦略研究所が昨年7月に公表した報告書は、アジア太平洋地域における米軍の即応体制に疑問を投げかけている。特に、中国との「ハイパーコンペティションや武装交戦には極めて不十分」であり、日韓に集中している米軍の配備を南、東南アジアで増強する必要があるとしている。

 そうなれば日本の安全保障にも跳ね返ってくることになる。