ミャンマー軍との関わりがある現地企業と合弁で事業を展開するミャンマーブルワリーの本社。クーデターによる不買運動に見舞われている
ミャンマー軍との関わりがある現地企業と合弁で事業を展開するミャンマーブルワリーの本社。クーデターによる不買運動に見舞われている 写真提供:キリンHD

キリンホールディングスは、ミャンマー軍によるクーデターの発生を受け、ミャンマーでのビール事業について、軍と取引関係にある現地企業との合弁を解消する方針を決めた。商品の不買運動も起きており、事業環境は不透明だ。それでも、事業の撤退はしない方針だ。なぜか。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ミャンマー軍のクーデターが飛び火
キリンHDが現地企業との合弁解消へ

 ミャンマーで発生した軍のクーデターが、現地での事業拡大にまい進するキリンに冷や水を浴びせている。

 ビール大手のキリンホールディングス(HD)は2月5日、ミャンマー軍によるクーデターの発生を受けて、ミャンマーでのビール事業について、現地で合弁事業を行っているミャンマーエコノミックホールディングス(MEHPCL)との合弁を解消する方針を発表した。

 MEHPCLはキリンHDとのビール事業のほか、ミャンマー国内で多岐にわたるビジネスを展開している現地の大手複合企業だ。キリンHDは15年にミャンマーのビール事業に進出し、MEHPCLと合弁で事業を手掛けてきた。

 その一方で、MEHPCLは軍人やその家族の年金基金を運用するなど、ミャンマー軍との取引関係がある。このため、キリンとの合弁事業で生み出された資金が軍事目的に使われているという可能性が指摘されていた。今回のクーデターの発生を受け、合弁解消という決断に至ったというわけだ。

 ミャンマー国内では、軍と関連する企業の不買運動が起きている。MEHPCLとの合弁事業である「ミャンマーブルワリー」の商品も対象だ。

 ある現地のミャンマー人は、「(ミャンマーブルワリーを)クーデターが起きるまで国軍系の企業だとは知らなかった。しかし、軍系企業と知り、買わないことにした」と打ち明ける。

 軍は1年間の「非常事態宣言」を発令しており、クーデターが長期化する可能性がある。不買運動が長期化すれば、キリンHDに与えるダメージは大きい。

 それでも、ミャンマー事業からの撤退について、キリンHDの担当者は「考えていない」と明確に否定する。いったいなぜか。