明治時代に描かれた錦絵。信長が光秀の家臣に槍で突かれそうになるシーンを描写しているが、想像上のもの。信長の死に際の様子は不明で、遺骸も見つからなかった(「本能寺焼討之図」都立中央図書館特別文庫室所蔵)明治時代に描かれた錦絵。信長が光秀の家臣に槍で突かれそうになるシーンを描写しているが、想像上のもの。信長の死に際の様子は不明で、遺骸も見つからなかった(「本能寺焼討之図」都立中央図書館特別文庫室所蔵)

1年余続いた大河ドラマ「麒麟がくる」もついに完結。劇中では、将軍・足利義昭、帝(みかど)、徳川家康、松永久秀ら、光秀が心を通わせた人々の思いを背負って、決起へ――という流れになっているが、真実はどのようなものだったのか? 今回は、本能寺の変をめぐる黒幕の存在について、ズバリ読み解いた。『歴史道 Vol.13』(週刊朝日MOOK)より特別に紹介する。

古今の歴史家がみんな悩んだ
「謀叛の理由」

 本能寺の変とは、明智光秀による主君・織田信長の殺害事件である。殺害には、何らかの動機があったはずだが、光秀自身が本心を明らかにすることなく世を去ったため、多くの憶測を呼んできた。

 あまりに突然の謀叛で、動機も不可解だったため、「誰かが裏で光秀を操っていたのでは?」という「黒幕存在説」も、古今まことしやかに囁かれてきた。

 多くの歴史家たちを悩ませてきた「黒幕説」だが、今回は代表的なものから“トンデモ説”まで、全11説を一挙紹介しよう。