社名変更後も今なお旧社名
「デジタル重視」が泣く英文HP

「国内外で約1000社に広がる企業集団のネットワーク(株)電通グループは、国内・海外の事業を支えています」と2021年2月15日の決算発表日には誇示していた純粋持株会社のHPは、本稿を脱稿した2月17日に改めて確認すると件の惹句(じゃっく)は見当たらず、その形式もLP=ランディングページへと衣替えしていました。PCでの閲覧を想定した旧来型から、スマホにも対応の上から下へとスクロールするデザインへとヴァージョン・アップしたのです。(https://www.group.dentsu.com/

 けれども僕は、文字と映像、更には印象(イメージ)を扱う専門集団にも拘らず、「言霊の幸ふ国(ことだまのさきわうくに)」に本社登記地を置く企業とは俄(にわか)に信じ難き、以下の現実に直面してしまったのです。

「About us 企業情報」と大書きされた電通グループのサイトをスクロールすると、(https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/

『「多様性」を創発していく企業グループへ』『純粋持株会社「株式会社電通グループ」の役割』の見出しに続いて『当社は一般的な持株会社ではなく、dentsu全体をチームにする会社、すなわち「チーミング・カンパニー」になることを目指します。』の決意表明が記され、その下の「dentsuの体制図」をクリックすると、「Group グループ」へとジャンプします。(https://www.group.dentsu.com/jp/group/

 そこには「電通ジャパンネットワーク(https://www.japan.dentsu.com/jp/) 」と「電通インターナショナル(https://www.dentsu.com/) 」へのリンクが並列して張られており、「dentsu international」バナーをクリックすると、何故か「dentsu Global」でなく「dentsu Asia Pacific」と左上に表示されたHPへと飛びます。よもやの苦戦に直面する豪州や中国を含むアジア太平洋地域を重視する意思表示でしょうか?

 とまれ、「dentsu Global (https://www.dentsu.com/?global=true)」を探し当て、右上に表示された「Menu (https://www.dentsu.com/?global=true#top)」にはサイトマップが見当たらず、ページをスクロールして「Sitemap(https://www.dentsu.com/sitemap)」に辿り着くと、そこには数々の“笑撃”が待ち構えていました。

「Who We Are」の下段レイヤー=layer「Our leadership」一覧に「Tadashi Ishii」なる表記を見付けてクリックすると、2016年12月28日に電通代表取締役社長からの引責辞任を会見で表明した石井直氏の顔写真と英文プロフィール「Chairman,DentsuInc.」が現れます。(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/tadashi-ishii

 僕の拙い英語力では「chairman」を「顧問」若しくは「相談役」とは邦訳出来ず、訝りながら計31名の列記された面々を順次クリックしていくと、

 Dentsu Aegis Network Americas&US CEOと記されたNick Brien氏(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/nick-brien

 Chief Network Development Officer, Dentsu Aegis Networkと記されたNicholas Rey氏(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/nicholas-rey

 Global President Business Operations, Dentsu Aegis Networkと記されたVolker Doberanzke氏(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/volker-doberanzke

 日系DNAと思しきSo Aoki氏の肩書もChief Corporate Planning Officer, Dentsu Aegis Network(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/so-aoki

 Executive Senior Advisor, Dentsu Group Inc.と記されたValerie Scoular女史も、そのプロフィールは「Currently she is Executive Director Human Resources and a member of the Dentsu Aegis Network Board and Compensation Committee」と現在形で記されています。(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/valerie-scoular

 Ashish Bhasin氏も「Under his leadership, Dentsu Aegis Network India is now the second largest Advertising & Media Group in India by revenue.」 と現在進行形です。(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/ashish-bhasin

 更にはGlobal CEO, CreativeのJean Lin女史が担当している中国も(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/jean-lin

「dentsu Asia Pacific」サイトから降りていくと直ぐに「for KFC China」のロゴタイプを前面に押し出した「Dentsu Aegis Network:KFC Digital Transformation」に辿り着きます。(https://www.dentsu.com/sg/en/dentsu-aegis-network-kentucky-fried-chicken-digital-transformation

 2月15日の電通グループ決算発表会見を担当した曽我有信取締役執行役員は、「電通グループが直近の10年の重点課題として捉え、これからも経営の鍵となる分野は、『デジタル』です」と「マネジメントメッセージ」の冒頭で語っています。(https://www.group.dentsu.com/jp/ir/top-message/top2.html

 国内事業会社(株)電通の「持続可能なリモートワーク」推進は、その現れなのでしょう。

(https://www.dentsu.co.jp/news/sp/release/2020/0319-010035.html

 が、海外事業会社の電通インターナショナル(株)は、その「重点課題」を遥かに上回る「成果」を収めています。なにしろ、役員自ら先頭に立って“瞬間移動スキル”を体得し、過去と現在を自由自在に行き来する「ワープワーク」を実現しているのですから。

 2月16日付け「日本経済新聞」が全10段を費やして19面に掲載した「会社・人事」の「情報・通信」に「電通グループ(3月下旬)代表取締役(取締役)ティム・アンドレー▽取締役、電通インターナショナル社グローバルCEOウェンディ・クラーク」と記載されていた件にも触れておくべきかも知れません。(https://www.nikkei.com/article/DGXZTSJD60701_V10C21A2000000/

 電通グループが昨年1月27日に『当社の連結子会社「電通イージス・ネットワーク(DAN)」における取締役会議長兼CEOの職務の代行に関するお知らせ』の中で「この度、当社の取締役副社長執行役員であり、DANの取締役会議長兼CEOを務めているティム・アンドレーが、健康上の理由により療養に入りました。このことを受け、一時的な措置として、当社の代表取締役社長執行役員であり、DANの取締役を務めている山本敏博が、ティム・アンドレーの担っているDANの取締役会議長兼CEOとしての職務を代行することといたしました」(https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/000198.html)と広報していたミシガン州デトロイト出身の本名ティモシー・アンドレーTimothy Andree氏は、米国のNBA=ナショナル・バスケットボール・アソシエーションの選手として活躍した御仁。(https://en.wikipedia.org/wiki/Tim_Andree)(https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2008035-0512.pdf)

 “生き馬の目を抜く”広告業界に於ける「余人を以て代えがたき」屈強な体躯の人物たればこそ、奇蹟の復活を遂げたのでしょう。

 その彼の“恢復”と“昇格”を祝うと共に(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/tim-andree)、昨年7月21日の”畏友”との面談の際、「私が白羽の矢を立てた女性です」と語っていたウェンディ・クラーク女史(https://www.dentsu.com/who-we-are/our-leadership/wendy-clark)の両名が、「多様なリソースを統合し、多様なステークホルダーをつないでいく」と決意表明する畏友・山本敏博CEOと“三本の矢”となって名実ともに、『dentsu全体をチームにする会社、すなわち「チーミング・カンパニー」』を、今この瞬間も日本国内外で粉骨砕身する一人ひとりのチームメンバー、更には取引先の人々の為にも築き上げることを願ってやみません。(https://www.group.dentsu.com/jp/ir/top-message/top1.html