麻雀卓がよく売れたというのも、集まりをあまりやってもらいたくないという子どもの気持ちが現れているのだと筆者は思う。ただ、1カ所に大勢の人が集まって麻雀をするというのも「密」の状態をつくるので、防疫上好ましいことではないと思うが――。

 麻雀卓の他には、ひまわりの種やピーナッツ、ピスタチオなどが売れている。これらの「年貨」は例年よく見られ、春節に中国人の家を訪問した際にも必ずといっていいほど出てくるものだ。

 たとえば、ひまわりの種は日本人には馴染みが薄いが、中国人にとってはテレビを見ながら食べたりするもので、おうち時間を過ごす際の「必須アイテム」といってよい。そのため、売り上げの増加幅は麻雀卓ほどではないが、根強い人気がある。

「90後」が家庭消費の主役に
食べ物から美容用品へ

 伝統的な「年貨」のほかに、サクランボ、昨年前半に若者を中心に爆発的にヒットしたタニシ麺、インスタント火鍋も人気のある「年貨」だった。それは主に「90後(1990年以降に生まれた人)」に支持されており、買ったこれらの「年貨」は、よそには持っていかないという類のものだ。

 一方で、アリババグループが運営する中国最大の小売りオンラインショッピングモール「天猫モール」が1月に発表した『2021年新年貨趨勢報告』によると、「90後」が家庭消費の主力となり、ネットでの「年貨」購入が一般的になるにつれ、新しい傾向が見られたという。これまでは「年貨」というと食べ物が中心だったが、今年は化粧品のほか、体重計や美顔器など体のプロポーションを保つための商品の売れ行きがよいという。

 中国人の春節消費がこのように変化したのは、「90後」が社会の中堅世代に差しかかり、家庭の消費においても“決定権”を持つ存在になってきたことが大きい。