では、今回どうだったかというと、亡くなられた旦那さんには実は兄弟がいたことが判明しました。旦那様のお父様が再婚で、再婚後の子どもは確かに旦那様だけでした。ところが、よくよく調べてみると前婚で3人の子どもがいたのです。いわゆる異母兄弟です。

 その異母兄弟にも相続権が発生しており、旦那様の相続人は奥様1人だけではなく、奥様と異母兄弟の4人という現実がそこにはあったのです。

「たすき掛け遺言」で
パートナーに“お守り”を

 これにより手続きの進め方が大きく変わってきます。まずは、異母兄弟の方に連絡を取り、手続きを進めていかなければなりません。

 そして何より、一人っ子と聞いていた夫に兄弟がいたこと、さらに、その兄弟も相続人に加わること、遺された奥様にとってはすぐに納得できるものではありません。ただでさえ大切なパートナーを亡くし憔悴(しょうすい)しています。それに追い打ちをかけるように予期せぬ事実を突き付けられた奥様の心のフォローが必要なのは言うまでもありません。

 このようなことからも、子どものいない夫婦は、遺された配偶者が後々困らないように生前から対策を取っておくことが重要です。

 そのカギとなるのが、「たすき掛け遺言」です。お互いに遺言書を作成し、それぞれがお互いの財産をパートナーにすべて相続させる、としておくのです。

 一人遺され、ただでさえ心細い配偶者の負担を減らすことができるように、お互いに準備しておきましょう。それぞれに“お守り”を持たせておくことが何より大切です。