今の若い人たちが将来、年金の受取額がゼロになる可能性は低い。安心して年金を頼ろう。ただし受け取り開始時期が遅れ、受給額が減少する可能性があるので、備えが必要だ。(経済評論家 塚崎公義)
公的年金は現役が高齢者を支える制度
公的年金は、現役世代が支払った年金保険料で高齢者に年金を支払うという「賦課方式」が採用されている。したがって、インフレには強い。インフレになると現役世代の給料が上がり、現役世代の支払う保険料を値上げすることができるので、それを用いて高齢者への年金を増額することができるからである。
しかし一方、賦課方式は少子高齢化には弱い。年金保険料を支払う現役世代の人数が減り、年金を受け取る高齢者の人数が増えるのであるから、当然のことである。そこで、「高齢者の受け取る年金が減っていき、今の若者が高齢者になる頃には年金が受け取れなくなる」と考えている人も多いようだ。
しかし、現役世代の人数がゼロになるわけではないし、年金には保険料のほか、税金も投入されているので、年金が全く受け取れないということはあり得ない。この点は、ほぼ全ての専門家の見解が一致している。この点については、前回の拙稿をご参照いただければ幸いである。